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loop
【幼馴染 官能小説】

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loop-3

「…そっかぁ〜じゃぁまた今度だなぁ。」

いつの間にかフキはいつもの寛いだ笑顔を浮かべていた。
それがなぜだかあたしをひどく悲しい気持ちにさせた。

「…うん。ごめんね。」
「いいよ。隣だし、いつでも行けるからなぁ。」
「…うん」
2人の間にぎくしゃくとした空気が流れた。あたしはそれを振り切るようにもう一度じゃぁ、と言ってすかさず歩き出した。
背中にフキの視線を感じる。
妙に早足になったあたしのヒールが地面に当たる度にコツコツとたてる音がやけに耳に触って、今すぐにでも振り返ってやっぱり行こうと言いたい衝動に駆られる。
でもその視線も人込みに紛れてすぐになくなって、それはあたしを一人ぽっちのような気持ちにさせた。




大学にあるカフェテリアの南の窓側の席があたしの特等席だ。授業がない日でもここでコーヒーを飲みながら何かをするのが一番集中できる。
今日みたいに晴れた日は特に、だ。
大きなガラス張りの窓からは中庭が見渡せて、そこから真っすぐに注ぎ込む陽射しは気持ちいい。
中庭では、天候のせいもあってかいつもより生徒が多い。

あたしは今日もコーヒーを片手に特に何かをするわけでもなく、いつもの席に座ってぼんやりと外を眺めていた。

フキはあの時、どんな顔をしてあたしの背中を見ていたんだろう。
今日、特に用事があったわけではなかった。フキに「先約」と言ったのも咄嗟の嘘だ。
なんでそんな事を言ってしまったのか、自分でもわからない。
けれど、フキと二人きりになるとたまにこういう態度をとって、フキを避けてしまう。
頭の中がゴウゴウと音をたてて混乱し、例えば、ご飯を食べながらフキとどんな会話を交わしているのか、自分がどんな顔をしてそこにいるのか、そんな事を考えると、普通にしなければとわかっている筈なのに、どうしていいのかわからなくなってしまうのだ。



フキと二人でご飯を食べなくなったのはいつからだろうか。
あたしは窓の外でお喋りをしながらランチをしている学生達を見ながら、ふと思った。

幼い頃からあたしはあんな風に人と付き合ったり、そういうのが不器用だったのにフキにだけはいつもベッタリで、フキのそばだけは離れなかった。
そんなあたし達を、ママはよく困ったものだと笑いながら話してくれた。
もちろん、同じような関係が大人になってからも続くとは思ってはいなかったけれど、幼かったあたしは、離れる事など微塵も考えていなくて、いつまでもフキのそばにいる事が続くものだと思っていた。
それがあたしにとって自然なものだと思っていたのだ。

でもいつからかあたしはフキを避けてしまうようになった。
いつからだろうか、とあたしはもう何度も自分にしてきた問いかけに、フキに彼女ができた頃だと、今まで何度も繰り返された答えにたどり着く。



フキが付き合った女の子はあたしとは正反対の活発な、フキと同じように友達の多い子だった。
誰もが『お似合いだね』と言うようなカップルだった。

あたしはその時からフキのそばを離れるようになった。
あのフキのぬくもりは、もうあたしのものではないのだと。
いつまでも幼い頃のようにはいかない。
大人になって、だんだんとフキの世界も広がっていくのだから、あたしの狭い世界にもうフキを縛りつけておくことはできないんだと、 気づいた。


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