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初恋のハジメ方
【初恋 恋愛小説】

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初恋のハジメ方 act.2-1

ACT.2

事件から数日たち、あのとき助けてくれた彼のことが気になりながらも、柚子の生活には落ち着きが見え始めた。

彼を探したい気持ちはあるのだが、事件があった時間帯の電車に乗るのはどうしても気が引けるし、彼と別れた駅の近辺には高校が多くありそこから当たりをつけるのも難しい。
そんな理由もあり、柚子は半ばあきらめかけていた。


―――――それからさらに数日後、柚子は大学からの友達である梓と一緒にご飯を食べてからの帰宅になったのでその日はいつもより遅い時間の電車に乗っていた。
そして電車が彼と別れた駅に近づいてきたとき、彼のことをまた思い浮かべていた。

(やっぱりもう会えないのかなぁ……)


―――自分のピンチを助けてくれた彼。

―――とても優しく、親切にしてくれた彼。

―――せめてもう一度会って、ちゃんとお礼をしたい!!



そう思っていたそのとき、キセキは彼女に舞い降りた――――。

ちょうど駅に着いて開いたドアの先に彼がいたのだった。

「「あっ!?」」

目と目が合ったとたんに2人の声はかぶった。

「アンタ、このあいだの……。」

驚いた表情で彼は言った。 「はい。あの……このあいだは助けていただいてホントにありがとうございました。」

かしこまってペコリと頭下げる柚子に、

「いや、どうもご丁寧に……」

とつられて彼も頭をさげるのだった。
しかし、そこまでの会話を交わすものの、ほとんど初対面であるような2人の間には沈黙が流れるのだった。



「あの――――」

とこの沈黙を破ったのは意外にも内気な性格の柚子の方だった。

「よかったらどこかで少しお話しませんか? もし迷惑でなければなんですが……」

と勇気を振り絞って赤ら顔で言った柚子に彼は、

「うん、よろこんで!」

と優しく笑って返したのだった。



その後電車から降りた2人は駅前のコーヒーショップへむかった。
以前のように駅のベンチでもよかったのだが、なんとなく人目を気にしてそちらを選んだ。


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