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秋と春か夏か冬
【学園物 恋愛小説】

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秋と春か夏か冬〜番外編00話『始まり』〜-1

今から約10年前。僕が小学校に上がった年、7才のころだった。

僕はパパとママと夏休みに1週間のサマーキャンプへ出かけた。キャンプと言っても山小屋を借りて、そこで暮らすというもの。
でも僕は遊びに行かず、ママにずっとくっついていた。

「夏輝ちゃん。みんなと遊んできた方が楽しいわよ」

ママが笑顔で言う。僕たちの他にも家族連れで来ている組がいくつかある。そこの子供たちは少し遠くで仲良く遊んでいた。

「やだ……ママといるもん」

しかし僕はそっちに行かなかった。この頃の僕は人見知りが激しく、友達も数えるほど…見ず知らずの子と遊ぶのなんて考えられなかったんだ。

「あらあら。せっかくキャンプに来たって言うのに…」

ママは苦笑い。ママを困らせたくはなかったけど、僕はどーして良いのかわからない。口をヘの字に曲げ、バーベキューの準備をしているママの足にずっとしがみついていた。

そんな時、僕たちの隣の山小屋に1組の家族がやって来た。遠くの方で何やら騒いでいる。

「杏子がおそいせいでもう夕方じゃんかー。おなかすいたー」

「黙れチビガキが!高校生の貴重な夏休みを潰しやがって…来てやっただけありがたいと思え!」

「だっておれとおやじだけじゃつまんないと思ったんだもん」

綺麗な女性と僕と同じくらいの男の子が、ぎゃーぎゃー言い合っていた。そして小さい男の子が…

「なんかうまそうなにおいがする!」

と言って、こっちに走ってきた。僕は急いでママの後ろに隠れる。

「ゎぁ!バーベキューだぁ♪うまそう…あっ、ぇと…はじめまして!」

男の子はママに向かって挨拶した。

「まぁまぁ、うちの夏輝と同じくらいなのに挨拶できるのね♪ほら、夏輝ちゃん。出てきなさい」

ママは僕を前に出そうとする。でも僕が抵抗するより先に、男の子が後ろに回ってきていた。

「おれ、きょうすけ!7才なんだ!きみは?」

じっと見てくる男の子。とても澄んだ、綺麗な瞳。

「なつき。僕も…7才」

「なつきか…同じ年だね!よろしく♪」

男の子は屈託のない笑顔で手をさしのべていた。

「ぅ…うん!」

気づいたら僕はその手を掴んでいた。少し顔を紅くしながら…。不思議だ…初めて会ったというのに、この男の子とは普通に話せる。それどころかいつまでも話していたい。そんな感覚に捕われる。

今にして思えば、恭介には一目惚れだったんだなぁと思う。

そして男の子の家族、お父さんと綺麗な女性も遅れてやってきた。


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