投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

『本当の自分……』
【少年/少女 恋愛小説】

『本当の自分……』の最初へ 『本当の自分……』 5 『本当の自分……』 7 『本当の自分……』の最後へ

『本当の自分……』-6

「あっあなた、誰なんですか?なんで、あたしの名前を知ってるの?」
「き、聞き間違いじゃないかしら?私はそんな事……」

俺は必死でとぼけた……。だけど上擦る声だけは隠しようがなく、ごまかしているのがバレバレだった。

「なんで嘘付くの?ひょっとしたらヨシキの知り合いなんですか?もし、知っているなら、教えて下さい!功刀ヨシキの事を!!」
まさか、魅也が俺の名前をフルネームで呼ぶとは思わなかった。そして、その事に真っ先に反応し、驚きの声を上げたのは他の誰でも無い、弥生だった。

「功刀?それって由佳の苗字と同じじゃない!!」


弥生の馬鹿!!余計なコト言いやがって……

その台詞に少女……魅也は驚いたように両手を口に当てて、ぽろぽろと涙を零した。こうなったらもう、隠し通す事なんか出来ない……。俺は覚悟を決めると大きく溜息をついた。

「座って下さい、魅也さん。」

詰め寄る魅也をベンチに座らせ、俺はゆっくりと口を開いた。

「黙っていてごめんなさい。ヨシキ……功刀ヨシキは私の双子の兄です。」

弥生と魅也は一様に息を飲んだ。けれど、すぐさま魅也は反論してくる。

「嘘!そんな話、ヨシキから聞いたコトないわ!」

俺だって、言ったコト無いよ魅也。だけど、これしかこの場を収める方法がないと思った俺は、さらに言葉を続けた。

「じゃあ魅也さん。彼と苗字が同じでそっくりな顔を持ち、性別の違う私は誰かしら?」

俺が女になってしまったなどと、夢にも思っていない魅也は、俺の言葉に押し黙ってしまう。

「家庭の事情で私と兄は離れて住んでいました。でも、兄はいつでもあなたのコトを楽しそうに話していたわ。」
「お願い!由佳さん……ヨシキに会わせて!!」

叫ぶ魅也に、俺は震える唇を噛み締める。

「残念だけど、それは出来ないの……」
「どうしてですか!?」

頼むよ魅也……言いたくないんだ。言わせないでくれ。唇が震え、言葉は途切れ途切れになっていく。

「よく考えて……どうして大好きな…あなたに、日にちも…場所も…告げずに…兄は転校してしまったのか……そして…あなたと会ったとき…どうして私は他人の振りをしたのか……お願い魅也さん……これ以上、言わせないで……」
「い、嫌よ……由佳さん…からかってるんでしょ?…変な、冗…談やめてよ……」

やっぱりお前は頭がいいよ。魅也の顔色は、はっきりとわかる程に青ざめていく。それは、俺が何を言おうとしているのか理解した証拠だ。とても正視出来ずに俺は立ち上がり、魅也に背を向けた。

「そして、今……こんなにも…あなたに……頼まれても……ヨシキに……兄に…逢わせては……あげられ…ないの……わかって…魅也さん…」

もう、俺も限界だった。その場にすくむ魅也を残して、ゆっくりと公園の出口へと歩き出した。

頼む!!魅也……追って来ないでくれ……。

後を追うように、いつの間にか弥生が隣に来ていた。すぐそこに見えている公園の出口が、やけに遠く感じる。

タッタッタッ!!

そんな俺の願いを打ち砕くように、後ろから走る足音が近づいて来た。足音は俺を追い抜き、すぐ目の前で止まると、俺は両腕を掴まれる。

「嘘でしょ?……嘘よね?……二人して、からかってるんだから……悪趣味よ……ねぇ逢わせて……ヨシキに…逢わせて……逢わせてよぉ!!」

ボロボロと涙を流し、半分笑ったような顔で魅也は叫んだ。

幸せだよなヨシキ……こんなにも、お前のコトを想って、今でも泣いてくれるんだぞ魅也は……それだけでいいだろ?いいよな?

俺はしっかりと魅也の両肩を掴む。

「魅也さん…兄は……」

「やめて!!聞きたくない!あたしはヨシキに逢いたいだけなの!!」

魅也は嫌々をするように耳を塞ぐ。その手を強引に解き、耳元に俺は叫んだ。

「聞きなさい!!ヨシキは……死んだのよ!!」


…ああ…魅也……
大好きな魅也……

言いたくなかった……
言わなければならなかった……

目を見開いたまま、魅也は数歩後ろに下がった。口に手を当て、そして……

「いやあぁぁあっ!!」


『本当の自分……』の最初へ 『本当の自分……』 5 『本当の自分……』 7 『本当の自分……』の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前