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GAME IS MEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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GAME IS MEMORY-1

僕が彼女について語る時、説明を避けては通れないゲームがあるんだ。それはもう、必然的にね。
当時の二人を繋げるものは、間違いなくそのゲームだったし、愛なんて自覚できる年頃でもなかったから。そのゲームこそが二人の関係を定義する全て。と言っても過言じゃないと思う。
出会いから語れば、4年前まで時を遡る必要があるんだ。
当時の僕等は中学二年生で、14歳だった。僕がバスケ部の幽霊部員で、彼女は放送部だった。
彼女の名前は、利恵という。
利恵を美人と呼ぶ人間を僕は知らないが、人目を引くほど容姿が崩れていた訳でもない。高校に行けば、普通に恋をして、普通に一年か二年目には処女を捨ててしまうような、そんな子だった。
クラスで彼女がたむろするグループは、実に小規模だった。三人の時もあれば、四人の時もあったけど、それ以上の時はなかった。独りの時も多かった。
余り目立つようなタイプでないことは確か。
僕はと言えば、似たようなものかな。中途半端に不良で、中途半端に生真面目な所もあった。
たまに仲間とつるんで煙草を吸ったり、スーパーでチューイングガムを万引きするようなことはあったけど、クラスメイトの財布を盗んだり、教師を殴ることなんかは有り得なかった。
尾崎豊は大好きだけど、「盗んだバイクで走り出す」とか、「夜の校舎で窓ガラスを壊す」とかは、随分と遠い異世界のこと感じられていた。
試験前には人並みに勉強して、順位は中の上。どちらかと言えば理数系。英語は割りと得意だったけど、国語が何より苦痛だった。小説なんて一冊も持ってなかったし、これからもそうだろう。
部活を頻繁にサボッては、本屋で立ち読みして帰宅する(勿論、少年漫画)。
僕と利恵は、何処にでもいる、普遍的な二人だったんだ。
僕等が初めて言葉を交わしたのは、衣変えが始まった時期で、一ヶ月先に夏休みを控えた頃のこと。
…随分と前置きが長くなったけれど、僕がその日、校内放送で放送室に呼び出しをくらったことから、この話は始まるんだ。
―昼休み。
僕はその時、給食後に教室で友人たちとポーカーに興じていた。
丁度、手札がフルハウスを叩き出し、一度は奪われた賭金の260円(何に使うかは分かるだろう)の奪取を確信した時。スピーカーから放送部員の美声が流れたんだ。
木山と言う女教師が放送室にて僕を待っている。そんな内容だった。
木山は国語教師で、放送部の担当。昼休みは放送部員の仕事が多くなるから、その管理のために放送室にいるのがつねだった。
我々生徒は、彼女を木山でなく、鬼山と認識していた。
火に油。木山に遅刻。それが同義語になるような厳格な教師だったんだ。
僕はメンバーに哀れむような視線を投げ掛けられ、放送室へと向かった。折角のフルハウスが水の泡になったのが、とにかく残念だったな。
放送室に行くと、木山が鬼のような形相で僕を待ち侘びていた。
僕が宿題の俳句を提出していなかったことに立腹していて、きつく灸を据えられたよ。
長い説教の後で、僕はその部屋で俳句を完成させろと命じられたんだ。
中学生が俳句。僕には理解できない教育方針だったな。
ともかく、僕は放送室の机で、鬼の監視の元に創作活動をすることになった。
僕の隣には放送部員の利恵が待機していて、教師の放送依頼に備えていた。
今考えると、変な学校だよね。教師が放送機器を利用するのは学校行事の時だけで、その他はみんな生徒。中学で放送部があること自体が稀有だよ。
僕は大いに悩んだ。
相手が木山でなければ、五・七・五なんて冗談半分で創ることもできたけど、その時ばかりは相手が悪かった。奴は頑迷で、シニカルで、およそ冗談の通じる相手じゃなかったんだ。
しかも、僕という奴に文才は欠片もないからさ。どんなに頭を捻っても、何も浮かんでこなかったんだ。
だけど、そんな哀れな僕を、神は見捨てなかった。捨てる神ありゃなんとやら。


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