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桜が咲く頃
【ファンタジー 恋愛小説】

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桜が咲く頃〜矮助〜-2

俺はいつもの柱に寄りか かっていると、俺と同じく大野の護衛をしているやつら7人に囲まれた。
普段から俺のことを快く思ってないやつらだ。

お互い剣を抜き、向こうが刀を振り上げたその時、突然悲鳴が聞こえた。

男達は一斉に声のした方へかけて行く。
屋敷を襲撃してきたやつらを倒せば、金一封が貰えるからだ。

俺はほっとしていると、アイツに腕を捕まれ、屋敷から飛び出した。
そして、熱が下がりきってない俺は、途中で気絶してしまった。

気が付くと、とても立派な屋敷の一室で寝ていた。
ここはどこだろう?と不思議に思っていると、身なりのいい男性が入ってきた。

『起きたか?』
聞き慣れた声。
この声…!?
そんなバカな!!
護衛がこんな良い着物を着れるわけがない!

俺はまさかと思いつつ、恐る恐る尋ねてみた。
『おっお前、あっ矮助か…?』
すると男性は顔をぱっと輝かせ
『初めて名前呼んでくれたな』
と満面の笑みで答える。
なんでコイツがこんな金持ちの家で、こんな立派な服を着ているんだ?
俺が頭を押さえていると
『鈴、大丈夫か?
ここ俺ん家だから、気にせずゆっくり休め』
と言った。

今、さらっと言ったが、どういうことだ…?
『俺ん家』……!?
俺は頭が真っ白になった…


俺はそれから3日程寝込んだらしい。
『らしい』というのは、俺自身に記憶がないのだ。
夢と現実が入り交じり、寝ているのか起きているのかさえわからない。
ただ覚えているのは、いつも近くに、アイツがいたということ…

寝込んで4日目の朝、俺は目を開け、ぼーっとしていた。
いや、目を開けているのかさえ定かではない。
なんだかアイツの声が聞こえる。
ん?ご飯を食べろ?
無理言うな。
そんな元気、どこにもない。
黙っていると体を起こされ、口元にお粥を運ばれた。
俺は食べる気にならなかったので、少し顔を背ける。
するとお粥は視界から消え、次にこんぺいとうが現れた。
こんぺいとうだ…
俺はそれをぼーっと見つめていると、それも視界から消えた。

消えてしまった…
あの幸せのように…

そんな風に思っていると、急に顔を上に向かされ、
キスをされた。

驚いて一気に目が覚める。
体を引き離そうとするが、力が入らない。
『ん゛〜…!』
声にならない声を出しながら手探りで刀を探す。
そうしていると、口の中に何が入ってきた。
するとアイツは離れ
『それなら口に入れとくだけでいいだろ?
頼むから、何か食ってくれ…』
と苦しそうな顔をした。


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