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かつて純子かく語りき
【学園物 官能小説】

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かつてクミコかく語りき-4

「ほへー。ふらふらじゃー」
「送ってくよ。この状態じゃ、さすがに危ない」
「ありがとござりまーす」
バランスをとるために両手を広げると、やじろべえみたいな影がアスファルトに伸びた。なんだか楽しくなってぷらぷらしていると、その腕を藤川さんがぐいと自分の方に引き寄せる。
「失礼するよ」
「……は、い」
とくん、と胸の奥が震えた。
冗談でも、たとえ介抱のためだとしても、ソンな気はさらさら無いんだとしても。
そゆことをされると。
トキメいちゃうじゃろ?
やっと平静を取り戻した心臓が、再び弾みだす。頭もフル回転だ。
「ありがと、です」
カララコロロと鳴く蛙の声を聞きながら、二人並んで歩きだした。
あたしのつじつまの合わない話に、藤川さんがあいづちを打つ。車や人とすれ違う時には、そっとかばってくれた。
酔っ払ったら、いつも藤川さんのお迎え付きじゃったらええのぅ……と考えながら歩く。
外灯に照らされて、足だけがびよんと伸びた二つの影。
ゆっくりゆっくり。心の中が、じんわりと温かい気持ちでいっぱいになっていく。
滝田君の時とは違う充足感。
これって……?
「藤川さん」
もっと、知りたい。話したい。声を聞きたい。
「何?」
藤川さんがあたしの方を向いた瞬間、世界が暗転した。



「……んん」
朝日が頬をくすぐる。重いまぶたを開くと、そこはいつもの見慣れた風景だった。ただ違うのは、昨日から同じスーツ姿だってことだけ。
「あれぇ?」
しゃべったとたんにズキンズキンと頭が疼きだした。
「痛ぁ〜ああぅあうあう……」
二日酔いじゃ、こりゃ。ぎぼちわる。
水でも飲もうと思って頭をそろそろと傾けると、テーブルの上に見慣れない焼酎のボトルが目に入った。
「……はれれ?」
こんなん、ウチにあったかのう?
「うう〜ん……?」
コウノトリが持ってきてくれたんじゃろか。
……なわけないしなぁ。
頭を枕に埋めてから、ひとまずこれまでの記憶を辿る。
昨日は歓迎会で、なんか変な新入生がいて、頭ん中ぐるんぐるんになって、なんじゃかんじゃで店の外に出て、藤川さんに会って、……。
会って…………ソレカラ?
あらら?
「おはよ」
後ろから急に声を掛けられ、反射的に枕を握りしめる。あまりの出来事に声もでない。
もしかしてもしかして、この状況は!
「お……はよぅ、ございま、す?」
おそるおそる頭だけで振り返ると、そこには昨夜と同じように藤川さんが立っていた。
ただ違うのは、それが快晴の朝早くで in あたしの部屋 だっていうこと!!
さあっと血の気の引く音が聞こえた。
?酔っ払い茅野
?藤川さんに絡む
?そのまま家に連れこむ
?泥酔のまま意識混濁
?帰るに帰れぬ藤川さん
?今に至る
コンマ3秒で上記の軌跡が出来上がったあたしは、ベッドの上で正座して謝罪しようとした。
「あのっ、ご、ご迷惑をおかけ……痛あっ!!」
左足首に激痛が走る。


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