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『傾城のごとく』
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『傾城のごとくU』前編-12

夜も10時を過ぎて、私は寝る支度をしながら、

「お姉ちゃん。任せて大丈夫?」

私は、つい不安を口にしてしまった。でも、姉は自信満々な顔で答えた。

「まっかせな!アンタのやってるとこ見てるから大丈夫だよ」

「じゃあ、お願いします」

私は居間に布団を敷くと、テレビを見ていた。いつの間にかウトウトしていた……


「おいしい?た〜くさん飲んでね」

私は夢の中で変な声を聞いた。
寝ぼけ目で声のした方向を見ると、姉の姿が見えた。

時折、〈おいちいねぇ〜、ニャンニャンちゃん〉と言っている。

あまりの気持ち悪さに、完全に目が覚めた。
私は薄目で姉の姿を見つめる。
チコが飲みやすいように補乳瓶を傾け、一方の手で背中を優しく撫でている。
でも、その顔は引きつり、手は小さく震えていた。

怖いのだ!これも初めて見た姉の姿だ。私は胸が熱くなった。

次第に夢心地になっていく中で、時折聞こえる姉の声が子守り唄のように思える。

〈は〜い。ゲップしたねぇ、おりこうさん……ウンチもオシッコもしましたねぇ。キレイにしましょうね〜〉

姉が居間を出ていく時、私は完全に夢の中だった。




生活の中に〈チコの世話をする〉ようになって、日々の過ぎるのが早く感じられる。
あっという間に、3週間が過ぎた。

「チコちゃん!行きますよ〜」

私はキャリーバッグにチコを入れた。大きさはよく分からないが、確かに以前より重く感じられる。

「じゃあ、お母さん。行ってくるから!」

「気をつけてね。先生にゴハンの事、聞くのよ」

「分かってる」

私は玄関を後にして、自転車で病院に向かう。先生との約束で、今日はチコの検診だ。
ついでに離乳食の事も聞いてこよう。


「こんにちは!」

病院の入口を入ると、受付のお姉さん〈高林さん〉が出迎えてくれた。

「こんにちは。今日は?」

「チコ…仔猫の検診と離乳食を教えて貰いたくて」

「そう。じゃあ、こっちの用紙にあなたの名前と住所、電話番号に仔猫の名前を書いてくれる?」

私は言われるままに、初めて受付を済ませた。


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