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ジャム・ジャム・ジャム
【SF その他小説】

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ジャム・ジャム・ジャム-2

なよなよした女の口調はこの大男が発するものとは思いがたいが、それに慣れているらしいエイジは黙ってそれを受け取る。
それでもハンカチに名前とハートマークが丁寧に刺繍されているのを見つけると、エイジも幾分かその眉を顰めさせたが。
「大方この子にいきなり迫ったンでしょ? コーヒーかけられても、文句は言えないわよ」
「失敬だな」
そんなダナの言葉に、エイジは立ち上がって反論する。
「彼女がマグカップを滑らして、俺の頭に落としたんだよ。ま、俺は優しいからな。キスもしくはデートで許してや……でッ!」
そこまで言ったところで、ダナがエイジの頭に手刀を落とした。
エイジの頭の上に載ったままだったアルミ製のコーヒーマグは、床に落ちて軽い音を立てながら転がって行く。
「痛ってえな、何しやがる!」
「だから、無理矢理迫るなっつーのよ」
ふん、と鼻を鳴らすダナ。
エイジは舌打ちをして、ウエイトレスをちらりと見やる。
エイジの視線を受け、びくりと彼女は身体を強張らせた。
「――ホットコーヒー、おかわり」
「は、はいッ! ただいまお持ちします!」
すっかりやる気をそがれたのか、エイジはそれだけ言うと仏頂面でそっぽを向いてしまった。
ウエイトレスは返事と共に床に転がるカップを拾い上げ、慌てて熱いコーヒーを淹れるべくキッチンへと走って行った。

「くそッ、てめーのせいでデートし損ねちまったじゃねえか」
去って行くウエイトレスの後姿をやはり仏頂面で見つめながら、エイジは言う。
「アタシのせいじゃないわよ、あの子嫌がってたじゃない。彼女、見かけない顔だから新入りだろうし」
可哀想だわ、とダナは言ってから、急に思い出したようにあッと声を上げた。
「どうした?」
「プレート忘れてきちゃったわ、取りに行ってくるから待ってて」
言うなり立ち上がって、ダナはカウンターの方へ走って行く。
注文しておいたランチのプレートを取りに行く筈だった彼は、エイジがトラブルを起こしたためにそれを忘れてしまったようだ。
やれやれとエイジが溜息をついている間に、先程のウエイトレスが湯気の立つコーヒーマグをふたつトレイに乗せてやって来た。
「さ、先程は、失礼致しました」
ぺこりと頭を下げるその姿に、エイジの方がきまり悪そうに頭を掻く。
「いや、もういいよ」
「いえ、本当にすみません。それで、お詫びというわけではありませんが……」
言ってウエイトレスはエイジの前に紙切れを差し出した。
「?」
疑問符を浮かべるエイジ。
ウエイトレスは辺りをきょろきょろと見回した後、彼の耳元で小さく言った。
「トレジャーの情報です」
「!」

ジョナ・ダイニングには労働者だけでなく、宇宙海賊やトレジャーハンターといった職業の者も多く訪れる。
トレジャーハンター――財宝を求めて星々を駆ける冒険家だ。
財宝と一口に言っても、彼らが捜し求めるものは金や宝石など、それがダイレクトに金になるものは勿論のこと、武器や機械、動植物までと幅広い。
特に武器以下のトレジャーなどは、金持ちが彼らトレジャーハンターを雇い、目当てのものを捜させるのである。
当たればいい金になるため、ギャラクティカではトレジャーハントを生業とする者がとにかく多い。
エイジとダナもそんなトレジャーハンターのひとりであった。
「信頼出来る情報なのか?」
訝しげな表情でエイジは紙切れを見つめる。
確かにジョナ・ダイニングの常連にはトレジャーハンターが多いが、同業者の多い彼らは、手に入れた情報を他に漏らすことは滅多にない。
特に此処最近ではトレジャーに関して得られる情報はからっきしだった。
しかしウエイトレスはこくりと頷く。


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