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ジャム・ジャム・ジャム
【SF その他小説】

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ジャム・ジャム・ジャム-14

「かくかくしかじか……ってわけなんだ。どーにか言い包めてくれ」
「そォね、確かに金銭的に余裕がないのが一番なのよね」
ダナは頷くと、コーヒーマグを三つ持ってジャムの隣に腰を下ろした。
「どうしてあなたが此処において欲しいのか、まずそれだけ話してちょうだい。それと、さっきもエイジが言ったと思うけど……燃料代も食事代も何もかも余裕がないのよ。此処において欲しいっていうなら、その分のお金を貰わないとね?」
この十八そこらの娘に金銭的な現実を突きつければ諦めもつくだろう。
ダナはそう思ってジャムに言った。
ところが彼女は、厚さ五ミリほどのカード型コンピュータを一枚取り出すと、得意げに言う。
「トレジャーカード?」
「そ、あたしのトレジャーカード。あたしの口座を見せてあげる。トレジャーハントで稼いだ金額が載ってるわ」
ジャムはカードの黒く塗り潰された部分に人差し指をぴたりとくっ付け、側面に付いている小さな赤いボタンを押した。
「『認証確認、M-FE:27492154、宜シイデスカ』」
そんな言葉と共に、宙にホログラムパネルが浮かび上がる。
ジャムは素早くカードに暗証番号を打ち込んだ。
そして最後にカードの右端をなぞると、ホログラムパネルに数字が現れる。
「「な!?」」
ホログラムに現れたジャムの預金額を見て、ダナとエイジは言葉を失った。
730万Gという、その金額。
圧倒されるエイジとダナ。
「たった一ヶ月で230万Gも稼いだのか!?」
エイジは信じられないといった様子でジャムを見やった。
730万Gのうち230万Gが、数回に分けてトレジャーハント代として振り込まれていた。
しかもその日付はこの一ヶ月以内。
情報のさっぱり入って来ない昨今のトレジャーハント事情を覆すような景気の良さだ。
「天才トレジャーハンターって呼んでよ」
ジャムが言って、ホログラムを消した。
「これで分かったでしょ? お金ならある。お願いだから、あたしを此処において」
「でも、そうまでして此処にいたい理由は何?」
ダナの問いに、ジャムがぐ、と言葉に詰まらせた。
暫し考えてから、彼女は口を開く。

「――あたし、家出してきたの」
「!」
その言葉に、ダナとエイジが顔を見合わせた。
「つまらない毎日。好きでもないことを延々とやらされる毎日にうんざりして――」
ジャムがカードをポケットにしまいながら続けた。
「昔から憧れてたトレジャーハンターになろうって、家を出てきたの」
「家出なんて、まあ珍しくもないけど……」
「だから、お願い!」
両の手を合わせて懇願するジャムに、ダナは断り切れないといった様子でエイジを見やった。
すると、エイジが訝しげな表情を浮かべて言った。
「金があることは分かった。けど、逆に怪しくねえか? 230万Gなんて大金、トレジャーハンターで簡単に手に入るなんておかしいじゃねえか。それに残り500万Gはどうしたってんだ?」
ジャムはにっと口元に笑みを湛えて答えた。
「あたしはね、勘がするどいのよ」
「カン?」
ジャムの言葉に、エイジが首を傾げた。
「ダンジョンで、どの辺りにお宝が隠されてるか分かるの」
ちなみに500万Gは家出した時にふんだくって来た、とジャム。
しかし、いまいち信用できない、といったふうにエイジはジャムを睨み付けた。
するとジャムはダナにコインを一枚貸してくれ、と頼んだ。


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