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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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やっぱすっきゃねん!U…D-12

ノーアウト3塁、1塁。青葉中にすれば大量得点のチャンス。
その時、東海中からタイムが掛り、伝令が主審に走り寄る。

背番号1を着けた選手が、ブルペンからマウンドへ向かった。
ピッチャー交代だ。

「やっと出て来たか…」

青葉中ベンチに緊張が走る。
東海中のエース宮津がマウンドに登ったからだ。
信也と並び称されるほどの実力と言われながら、大会前の故障により満足な活躍が出来なかった。

宮津は荒れたマウンドを丁寧に均すと、深く窪みをつけて投球練習を始めた。そのフォームは力感溢れるモノで、信也のようにキレとコントロールで無く、球の威力で勝負するタイプ。


「バッターラップ!」

打順は7番、センターの長谷見。宮津の球威を考えて、バットをひと握り余らせている。

「プレイ!」

宮津がセットポジションに構えると、キャッチャーが立ち上がった。

(…満塁策か……)

永井は考える。

(次の佐々木と田村で勝負か)

「大森!」

ベンチ奥に座る大森を永井が呼んだ。

「ハイッ!」

「次、行くぞ!用意しろ」

大森は慌ててヘルメットと手袋を着ける。

「ボール!フォア」

長谷見は、バットをネクスト・サークルまで滑らせて1塁へと駆けて行く。東海中の内野陣は、マウンドに集まった。

守備位置の確認だ。

青葉中は、8番佐々木に代えて大森を送り出す。




「これは面白いな……」

一哉は、スタンドから興味深げにゲームの行方を見つめる。

「大森さんを代打に使うんだから、犠牲フライ狙いですよね?」

「…さあ、どうかな?」

佳代の問いかけを曖昧に答える一哉。彼の見ているモノは別のモノだった。

永井の指揮官としての資質だ。


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