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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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やっぱすっきゃねん!U…C-6

試合は3回で決まってしまった。大野の先頭打者ホームランから始まった青葉中の攻撃は、2回までに8点を奪い取った。
対する瀬高中の攻撃は、青木の必死の投球に、三振、凡打を築いていく。

4回の表。先に動いたのは青葉中だった。

「宇野!」

永井が控えの宇野を呼んで、何かを伝える。宇野は何度も頷くと、ベンチを飛び出した。

伝令で主審の元へ向かい、選手交代を告げる。

「…10番と12番、15番を9番に、5番を13番に替えます」

主審が確認しながら頷く。
永井は各選手を呼んで交代を告げる。

「羽生、佐々木行ってこい!」

そして、ベンチからブルペンに向かって、

「岩田ぁ!出番だ!」

岩田は最後の1球を信也に投げ込み、仲谷が持って来たスポーツドリンクの入ったコップを、一気に飲み干してマウンドに向かった。


「アッ、岩田さんが出てきた!」

佳代が、マウンドに立った岩田を指差す。

「…さて、こいつはどうかな?」

一哉は前のめりでマウンドを見つめる。



岩田は荒れたマウンドをキレイに均すと、青木同様に歩幅を測る。

約7歩の位置に、深く狭い窪みを作る。岩田は踏み出す足を固定するタイプだ。

岩田はセットで構える。
普段から2、3番手ピッチャーを任される事が多かったためだ。

両手を肩の高さで伸ばし気味に構え、スタンスは肩幅より少し広くとる。半身はわずかにホーム向きだ。

山崎のミットを見つめ、左足を軽く上げ、半身を後に捩る。身体は前方へと傾いていく。
瞬間、岩田は左足を伸ばして深い窪みを踏み込み、半身をホームへと倒し込む。
前方への体重移動を力に変えて、腕をムチのようにしならせた。

低いリリースポイントから放たれたボールは、バックスピンを効かせて、真ん中から打者の手元でホップした。

〈バアァンッ!〉

ミットの芯に収まったボールは、青木以上の音を響かせた。


「…すごい…」

呆気に取られたような佳代の声。一哉は安堵した表情を見せる。

「…やはり、小細工無しで良かったな…」

「何かアドバイスしたんですか?」

驚いた表情のまま佳代が訊いた。


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