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childhood friend
【悲恋 恋愛小説】

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childhood friend-2

私を嫌いなあの子は、和弥と付き合っている。
「仲いいね〜あの2人」
何も知らない友達は、私にそんな話を振ってくる。
「2人っともワガママだから、すぐわかれると思ってた」
「和弥はああ見えてつくすタイプだからね」
私は、笑いながら言った。
「そうなの!?」
彼女は、意外そうな顔で2人を見た。
「うん」
「詳しいね?」
…痛いなぁ
「…幼なじみだから」
楽しそうに話す和弥とあの子を見るのがつらくて、私はわざと時間をずらして登下校していた。

卒業も間近に迫ったある日、私はなぜか和弥に呼び出された。
人の事を呼び出しておきながら、和弥はなかなか話をしなかった。
「ずいぶんなご寵愛ぶりね」
「え?」
「有名だよ?」
わかっていること、わかっていたことが、口に出すことによって再確認される。
和弥に言っているんじゃない。
自分に言い聞かせてるの。
忘れなきゃいけない。
諦めなきゃいけない。
未だに諦めのつかない自分に。
「…アイツ、嫌いか?」
「へ?」
冗談だと思い、笑いながら返す。
「いきなり何?そんな…」
「無理に言わなくてもいいんだ」
「は?」
話が見えない。
和弥の顔は、いつになく真面目だった。
「誰にだって、嫌いなヤツはいるし、悪いとは言わない。」
「待って、何のはな…」
「ただ、」
和弥は、私の言う事なんて聞いちゃいない。
「ただ、あまりキツい事は勘弁してくれないかな…見ててつらいんだ」
「…和、弥」
何の話?
誰がキツいの?
「オマエ、昔は自分が泣いてもみんなに幸せになってもらいたいってヤツだったじゃん…」
すぐにピンときた。
きっと、あの子が和弥にありもしない事を吹き込んだんだ。
私があの子からえげつない嫌がらせを受けている事なんて、女子はみんな知っていた。
和弥は、15年一緒だった私より、あの子を信じたんだ…
私は、否定も肯定もしなかった。
出来なかった。
和弥の前で、和弥の好きな人を結果的には悪く言うなんて、とても出来なかった。
吐き出す事を許されない私の思いは、涙になって溢れてきた。
「…千春?」
私は、教室を飛び出した。
悲しさも悔しさも抑えきれなかった。


高校に上がってすぐに、風の噂で2人が別れた事を聞いた。
あの子に別の男が出来たらしい。

私は、あの日以来和弥とは口も聞いていない。
私が、和弥をことごとく避けたからだ。

ねぇ、まだ立ち止まったままこっちを見ている事、知っているけど、絶対振り向いてあげない。

…好きだからこそ、許せなかった。


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