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「S女とM男の恋愛事情」
【大人 恋愛小説】

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「S女とM男の恋愛事情」-2

そんなわけでいざ出陣!俺の勇気と愛のステータスはMAXだぜ!ミツヒコ、行きまーす!カッコ某アニメキャラ風に。スラッシュこの辺がオタクっぽいのだろうか…カッコとじる。
朝は迷惑だろうから、夜に待ち伏せをすることにした。
そんなわけで、ある晴れた月曜日。会社から早めに帰宅し、夜6時。自分の持つ洋服の中で最高にイケてると思い込んでる恰好で、色々とシュミレーションしながら彼女を待つこと12時間…。
おっと朝になってしまったぞ…。
自分、意外に待てる男なんだな、と感心しつつ夜明けの朝日が目に染みた。
そうして途方に暮れていると、彼女が現れた。
帰宅、結構早いんですね…。
遠い目で彼女を眺めていると、彼女がこちらに顔を向けた。
「おはようございます」
それはもう美しい笑顔で、なんと彼女のほうから声をかけてきてくれた。
一日の半分を費やして彼女を待った甲斐があった!俺は感動して涙目になった。
「あ、おおお、おはようございますっ」
今だ!告白するんだ!
俺は通りすぎる彼女に、勇気を振り絞って声をかけた。
「あ、あのっ…!」
心臓が口から飛び出そうだ!ドキドキしすぎで頭が震える。ん?頭って震えるっけ?とりあえず思考回路はショート寸前だった。
彼女が疑問符を浮かべてこちらを見つめる。漫画のヒトコマにありそうなシーンだ。
「あ、あの…俺、メゾン・ド・Mの102号の村田充彦って言います……じじ、実は俺、ずっと貴女が好きで……よければ、その、俺とお付き合い、してもらえないでしょーか…」
語尾は消え入りそうな声ではあったが、なんとかシュミレーション通りに告白できた。恋愛シュミレーションゲームなら得意なんだけどね、実際はなかなかに緊張するものだね。
「メゾン…ドMの…102号…村田、充彦…?」
彼女がぽかんとした顔で復唱する。ド・M、と区切らない発音に俺は自分がドM呼ばわりされた心境に陥った。
それでも、美人な上に優しそうだなぁ、とほんわか彼女に魅入っていた俺は、続く彼女の言葉に幻想を打ち砕かれることになる。
「…ドM野郎が」
ぼそり、呟く彼女。
…はい?
今、何とおっしゃいました?
我が耳を疑う俺。『どうもありがとう』と言ったに違いないと強引にボキャブってみる。
「イニシャルMMってのはどうなんだ、テメェ根っからのMだろ?」
…。
よし、ボキャブってみようじゃないか。
『イニシャルMMってのはDo not!To MeネットキャラのM太郎』
……無理ありすぎだな、うん。
やはり聞き間違いではないらしい。顔面蒼白になる俺。思わず口にしたのは…
「いや、俺Mじゃありません…っていうか…イニシャルがMだからって、Mってこと、ないと思うんですが…」
「メゾン・ドMを選んだわけだろ?Mという仲間意識に呼び寄せられたんだろ?」
「や、家賃が…安かっただけで…そんなわけでは…」
精一杯の反論をしながら、タジタジと俺は後退する。


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