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秋と春か夏か冬
【学園物 恋愛小説】

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秋と春か夏か冬 12話〜『サヨウナラ』〜-3

「車を駐車場に停める時間がもったいない。恭介、先に行ってろ」

「あぁ…すまない」

走り出す恭介。


(はぁ…はぁ…確か○○ゲートの方…でも間に合うか…飛行機は時間前に機内に入るし……いや…それでも…信じて走るんだ…)

杏子のおかげで楽に空港まで来れた。
体調も良くはないが、休ませて貰ったぶん思いきり走れる。
そして何より…美雪のために…。



だが…時は無情なもの…。

恭介が待合室のロビーについたのは13時05分…。

(はぁ…はぁ………ちきしょう………美雪…)


限界をとっくに超えている恭介の体は崩れて…椅子に倒れこんだ。

(間に合わなかった………そもそも…美雪を送り出すって決めたのは…俺自身なのに………見送りに行くのも……すべて…間違えてたのか……ん?)


恭介はあるものを見つける。銅像の下に置いてある紙袋…それが光っているように見えた。


なぜか恭介には、それが自分のだとわかった。
他の人には見えていないように…自分だけを呼んでいる。
置いた主が…恭介にしかわからないように…まるで、恭介のためだけに贈ったみたいに…。


悲鳴を上げている体のことを忘れ…紙袋に近づき、手に取った。
中身は……熊のヌイグルミと……絵本。


恭介は熊のヌイグルミを手に取る。
ヌイグルミの首には…首飾りとしてか、紅い紅葉のキーホルダーがついていた。

間違いない…美雪のだ。


そして熊は大事そうに手紙を抱えている。
まるで自分のご主人様の言葉を代弁するように…。

俺はその手紙を取り、中身を見た。
まぎれもなく美雪の字であった。
俺はそれを読んだ。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★
《Dear,秋津 恭介》


まず……ありがとう♪
これを呼んでくれてるってことは…来てくれたんだよね。元気?それとも怒ってるかな?
…でも私を振ったんだもの。これぐらい許してくれるよね♪
あはは♪別れたくって振ったんじゃないって?…わかってるよ。恭介は優しいもんね♪
この手紙を読む前に…絵本があるよね?それを先に読んでくれると嬉しいな。



そこで一旦読むのをやめ、紙袋に入っている絵本を取り出した。

タイトルは擦れていて見えない。
イラストは…翼を持った男の子と女の子が、手を繋いでいる。
俺は中を開いた。


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