投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

秋と春か夏か冬
【学園物 恋愛小説】

秋と春か夏か冬の最初へ 秋と春か夏か冬 76 秋と春か夏か冬 78 秋と春か夏か冬の最後へ

秋と春か夏か冬 12話〜『サヨウナラ』〜-2

「……何時の便か…わかるか?」

『確か13時の便って…でも今からじゃ……』

「…知らせてくれてありがとう…」

『待って恭介!僕た…』

理緒には悪いが言葉の途中で切る。

(急がなきゃ…)

俺は動かない体に鞭を打ち、無理矢理立ち上がり…部屋を出ようとする。

…が、当然杏子が制止する。

「待て…何処へ行く気だ。絶対安静だぞ。それに職業がてら……ごほん……とにかく、病人の外出は許可しない」

杏子の目は真剣だった。

しかし恭介はそれ以上に真剣だった。

「……頼む。どいてくれ…行かなきゃ……俺が行かなきゃ駄目なんだ…。
美雪が俺を理解してるように…俺も美雪の気持ちがわかる……口に出してないけど…待ってる……きっと待ってるんだ」


…しばし睨み合いが続く……そして…


「……ふぅ。お前は言い出すときりがない…」

恭介の気迫に杏子が根負けした。

「ごめん…ありがとう」

恭介は家を出て目的地へむかう。


(空港へむかうには…駅だ)

恭介は走り出した………が、その体で走れるわけがなく倒れかける。


杏子が後ろにいた。

「……ったく。手のかかるバカは好きじゃないんだが…お前の必死さには呆れる」

杏子は恭介の体を持ち上げ、車に放り込む。

「……杏子…」

「黙っていろ。確か空港とか言ってたな……よく知らんが、お前の必死さから見て…美雪ちゃん絡みなんだろう??送ってやるから着くまで寝てろ。少しでも体調を回復させとけ」

「杏子……本当にありがとう」

今日ばかりは心から感謝する恭介。


杏子の神業的な運転技術と、明らかにスピード違犯と言える速度で、空港に到着するのは恐ろしく早かった。

それでも時刻は12時20分。


秋と春か夏か冬の最初へ 秋と春か夏か冬 76 秋と春か夏か冬 78 秋と春か夏か冬の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前