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THE 4 seasons 〜SPRING blossom〜
【悲恋 恋愛小説】

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THE 4 seasons 〜SUMMER vacation〜-1

生まれて初めて夏が終わらないで欲しいって思ったんだ。

SUMMER vacation

 今年も夏がきた。夏は嫌いだ。こんな小さな町にも大勢の人がくる。夏希の家は海沿いで民宿を営んでいる。こんな町、夏にしか人は来ない。つまり、この町に住む者にとって唯一の稼ぎ時なのだ。夏希の家も例外ではなく、夏の間は目の前の浜で海の家を開いている。そして、夏希自身も手伝いに駆り出されてしまう。だから、夏は嫌いだった。
 そんな時、夏希の家に若い2人組の男たちが泊りに来た。一夏をこの町で過ごすらしい。
「おはよー! 夏希ちゃん! 一緒に海行かな……」
「行きません」
 言葉を途中で遮った。ここ1週間、ずっとこんな感じだ。正直うっとうしい。
 その男の名前は悠斗。ロン毛で軽くてチャラチャラしていて、夏希のもっとも嫌いなタイプだ。
「いつもごめんねー」
 悠斗の後ろにいるのは昴だ。悠斗と一緒に夏希の家に泊っている。昴は大人っぽくてクールなタイプ。
夏希は昴が気になっていた。
 2人ともサーファーだ。ほとんど毎日、朝からサーフィンをしていた。
 昼になると海の家にもお客さんが大勢来る。忙しさも最高潮だ。昴と悠斗はいつも夏希の店に買いに来る。
「焼きそば、1つお願い」
「はぁい」
「じゃあ、俺はたこ焼き!」
「……はい」
「夏希ちゃ〜ん! 俺には冷たいじゃん……」
「うるさい!」
 毎日こんなやりとりを繰り返していた。夏希にとって大嫌いだった夏が少しは好きになれそうな気がした。

 昴と悠斗がこの町にいるのはたったの2週間。その2週間はあっという間に過ぎてしまった。
 そして、最後の夜。夏希はそっと家を出た。じっとしていると昴のことばかり考えてしまう。

 海沿いを歩いていると、夏希は浜辺に座る人影を見た。それは昴だった。遠めに見ても夏希にはすぐにわかった。夏希は思い切って昴に近付いた。昴は浜辺に座って煙草を吸っているようで、煙が漂っている。
「こ、こんばんわっ!」
昴は驚いて振り返った。
「夏希ちゃん? こんなとこでどうしたの?」
 そして、煙草の火を消した。夏希が煙草嫌いなのを知っての行動だ。そんな些細な行動も夏希には愛しく感じる。
「散歩。そっちは?」
「俺もそんなとこー。悠斗が寝ちゃって暇だから」
 そして――
「ここ、座りなよ」
 昴は自分のすぐ横の砂をぽんぽんと叩いている。
「うん!」
 夏希は昴の隣りに腰を降ろした。高鳴る鼓動を抑えることが出来ない。
「いい町だね、ここは」
 真っ暗な海を見つめながら昴が言う。
「夏希ちゃんにも出会えたし」
 一瞬にして夏希の顔が熱くなっていく。今が夜で本当に良かったと夏希は思った。この顔のほてりに気付かれてしまうから。
「またまたぁ! 女の子みんなにそんなこと言ってるんでしょ?」
 夏希は照れ隠しに慌ててこんなことを言ってしまった。
「夏希ちゃんだけだよ。こんなこと思ったの」
「えっ!」
 夏希はびっくりして昴を見た。昴は真っ直ぐと夏希を見つめていた。
「俺は本当のことしか言わないよ」
 その真剣な瞳に思わず下を向く。
「……あたし、夏が大嫌い。だって、毎年手伝いばっかりなんだもん。……でも今は……今だけは夏が終わらないでって……思う」
 涙が頬を伝う。昴と離れたくない。昴は明日には帰ってしまう。この想いはどうすればよいのだろうか。
「夏が終わっても一緒にいようよ」
 ふいに昴が言った。夏希は思わず涙でグシャグシャの顔を上げた。昴は優しく笑って夏希の頭を撫でた。
「電話するよ。週末になれば会いにいく。」
 昴はただ頷くことしかできない夏希を優しく抱き締めた――。


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