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少女と少年の市民プール
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少女と少年の市民プール-1

浅麻 夕(あさま ゆう)はさんさんと照る真夏の太陽の下、市民プールにいた。
――ぬるい…
足で確認したプールの水は、もはやぬるま湯だった。
「かみかぜぇスーパーキック!!」
「でぇっ!?」
突然、後ろから押され(おそらく蹴られ)プールに突っ込む。

―ベチャ。
胸板から落ち、変な擬音と水しぶきがおきる。
死に物狂いで浮上し、プール淵で肩で息する。
「―っぱぁ…くっ、はぁはぁはぁ――」
「あはははは、ベチャだってー、ベチャ。もぉ、油断してるから天罰が起きるんだよー」

夕を、指差し笑う少女。市民プールには不釣り合いの青と白のストライプのビキニを着ていた。
大胆な水着なのだが夕にとっては、なぜか色気を感じなかった。
「…殺す…はぁはぁ…気か…はぁ…はぁ」
「もー、その程度で死ぬたまじゃないから大丈夫でしょ」
少女は仁王立ちで根拠のなく自信満々に言う。
「ってか、はぁはぁ言い過ぎぃ。私の水着姿にそんな興奮したとかぁ?んんー?」
「誰が…」
「んー?…へっ、ちょっ―」
「誰が、ベチャパイに興奮するかぁぁっ!!」
「ぎゃぁにゃぁぁぁぁぁ!?」
足首を掴み、力一杯に少女をプールに放り込んだ。


「少女と少年のプール」


夕焼けになり、真夏の太陽が暑さを抑え始めた頃、古ぼけた市民プールの出入口近くのベンチに二人の少年少女がいた。
血の色が青そうな、どこか冷たい印象を与える華奢な少年と、頭の中がお花畑でできてそうな人懐っこい印象を与える髪の長い少女だった。
「にしても、ひっどいことするよねぇー」
濡れた髪を纏めながら少女がいう。
「今日は泳ぐ気なかったのにさー。あっもぉ、濡れた髪めんどっ!?」
纏めるのに失敗したのか、髪をくしゃくしゃにする。
「ちょっと、夕よろしく!」
「…不器用だな、相変わらず。しっかり拭かないからだろ」
「うっさいなー」
タオルで少女の髪を拭いてやる。
「大体さ、夕が私をプールに落とすからイケないんじゃんかー。本当困るよ君ねー」
「なんだよそのしゃべり方は…。つか、あれはお前から売った喧嘩だろ」
「えーー!?私のような平和主義者の鏡が売るわけないじゃん」
「……本気で言ってるんだから、いい加減怖いな…」
少年は充分拭いたと判断し、タオルを止める。
「―まぁ、あれだ。お前も俺を蹴り落としたんだし、おあいこだ」
「えー!?…あっはい、くし」
髪を整えるまでしろ、らしい。
少年はため息をつき、くしを受けとる。
とたんに、少女の顔が不気味ににやける。
「ふっふっふ。餌付けの効果が現れてきたねー、しめしめ」
「…うっさい。つか、『えー!?』ってなんだよ」
「んー?あぁ、だってあれは夕と違って暴力じゃないから」
少女の髪をくしでとかし始める。
「はぁ?」
「そう、あれには私の愛が込もってるんだよー。夕のと違ってね。あと、『ついに頭壊れたか?』みたいな目で見ないでくれない」
「いや、えっと正気か?」
「とりあえず、「本気か?」にしなきゃ『神風エルボー』挑戦するわよ、もち実験台は夕だか――」
「わかった、わかった。じゃ、本気か?」
「……まぁ、本気ってわけじゃないけどー。たださ――」
「ただ?」
「…えーまぁ、あれだよ。夕が私の水着姿にエロ視線を向けてた罰よ」
「……お前、天罰って言ってなかったか?…」
「そうだっけ?」
「…もういい」
ため息をつく。少女とのこんな会話もいつものことだった。


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