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fantasy ability
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reality ability‐第5話‐西の洞窟、death cave‐-5

数分間、ジッとしている二人。すると、零歌が皇希を解放する。皇希は少し離れて振り返る。

「‥その優しさは‥“あの人”と同じ“力”か?‥」

皇希は少し微笑みながら言う。滅多に笑う事が少ない皇希だが、零歌の前では少し、いや、凄く素直になるようだ。

「そうよ。‥‥本音は貴方を行かせたくない。ワタシは貴方を幸せに出来るから。でも、“彼”がダメって言うから。」

泣きそうな顔になりながらも、零歌は皇希を見て言う。彼女は皇希を織音以上に愛しているようだ。

「‥‥それは駄目だ。俺は‥」
「言わなくていいわ。知っているから。貴方に祝福が来ますように‥‥。じゃあねぇ。ワタシたちは裏の仕事をやるからぁ。」

零歌は扉を開け門の中に姿を消した。彼女の優しさは“あの人”と同じ‥。謎に包まれた“真実”‥‥それは皇希以外にも影響するかも知れない‥‥。

「‥‥‥」

《‥‥零歌‥‥俺と同じ“力”を持ち、同じ身体の中にいる“奴”も俺や零歌以上に強い。‥‥俺は‥‥》

皇希はそこで考え事を止め、歩き始めた。ただ前だけを何かで秘めた瞳の眼差しで見ていた。





「‥‥悲しいな。“運命”っていうのは‥‥」

扉の後ろからの声。寂しく響き、直ぐに消える。

「‥‥それが“真の理(しんのことわり)”だ、一つはな‥‥」

謎の人物は何者で何をしているのか?‥‥一切不明だった。


‐一方、死の洞窟と呼ばれているデスケイブのとある内部‐

「‥‥この気配は皇希(アイツ)が来るか。俺はなんて運が良いんだ!くっくっくっ!」

死神 誑笥が居た。大きな岩の上に座っている。狂喜の表情だった。

「‥誑笥様?‥他の者が予定通りに配置に着きました。」

隊長格の手下が言う。暗いのでロウソクが近場で灯っていた。

「解った。皇希を見たら速攻で攻撃しろ!‥‥流石にアイツでさえ防げないだろう。」
「はっ!」

隊長格の手下が敬礼し去る。

「これは渡さないぜ?山崎 皇希?」

誑笥の手には“記憶の欠片”と思われる首飾りがあった‥‥。





‐先ほどの会話から数分前、入り口から少し離れた洞窟内‐

〈ヒュン!ギィン!ヒュン!ザクッ!ブシュゥ!‥‥〉

洞窟内なので金属音や血が吹き出す音が凄く響いている。辺りには血で塗られた岩が所々にあった。血が乾いている岩と最近付いたばかりの岩がある。
また、古く折れた剣や槍なども落ちていた。‥‥何よりも強烈なのが洞窟内の臭いだった。腐り果てた血や自然による臭いが悪く影響しているようだ。
実はこの洞窟に伝えられた伝説がある。それはある神が子供の為に造ったと言う出来事だった。どんな意味があるのかは誰も知らなかった‥‥。
その為か、構造が凄く複雑になっていた。迷路‥‥迷宮‥‥いや、色んな意味の“謎”と言ってもいい程の別れ道がある構造だった。自然的に造られた洞窟ではない証拠だ。
そういった理由でこの洞窟はデスケイブ(死の洞窟)と言われていた。


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