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ヲタク彼氏
【コメディ 恋愛小説】

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**突撃!!ヲタク訪問!??午前編**-3

待って。


ちょっと待って。


人の母親を千香ちゃん呼ばわりして‥‥‥

勝手に人の家に侵入し、あろうことか我が家のソファーに座って優雅に紅茶を飲んでいるのは‥‥‥

「先輩‥‥?何をしているんですか‥‥?」


「だって今日、日和と約束したじゃん?だから待ち合わせするより、俺が来ちゃったほうが早いかなぁって思っ‥‥‥」

んん?

突然、固まってどうしました?


「日和さんのお父様、おはようございます。昨日は突然の訪問、大変失礼いたしました。本日は娘さんの鞄をお届けに参りました。」

ここは江戸時代かっ!!と突っこみたくなるくらい素早い動きでソファーからおりて、床暖房のフローリングに跪き頭を下げる。

「いぁ‥‥あ‥どうも‥おはようごぜぇます。よくぞ参られました。」

ごぜぇますって何だよっ!!だいたいお父さんも何、雰囲気にのせられて江戸時代風なんだよっ!!

「日和、よく見なさい。十年後もあの光景をお母さんに見せてちょうだいね。」

どういう意味‥‥って

おいっ!??

「お母さんっ!!話が飛躍しすぎだからっ!!」


全く訳がわからない。
そもそも、お母さんのときと態度が違いすぎない?

「はい、日和さん。こちらが鞄です。」


お前は誰だ?


「まだおめめがお目覚めではないようですね。それではお部屋に運んでおきます。さぁ日和さん、行きましょう。」

うん。
丁寧に言ってるようで飛んだ勘違いですね。
おめめとか気持ち悪いし。日和さんって初めて呼ばれたし。だいたい両親が柔軟な対応しているのに私が動揺するのはなんか悔しいから落ち着いてるふうに見せてるけど、言ってみればもうこれは諦めですよ。

仕方ないから先輩の背中を押して階段へと促す。
本当は蹴り飛ばして即刻退場させようと思ったけど、文句の一つでも言わないことには気が済まない。

ここで不満をぶちまけても構わなかったが、あまりにもお母さんが先輩を気に入ってるから何を言っても私が悪者になるのは目に見えてる。


日本には本当に都合のいい言葉がある。



……仕方ない。


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