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間−ハザマ−
【悲恋 恋愛小説】

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間−ハザマ−-3

一週間が過ぎた。この一週間で変わったこと、平沢が図書館へ来る時間が早くなった。
「ちょっと、なんか毎日予備校サボってない?」
私、真正面でカリカリ勉強してる平沢に言った。
「うん、ここの方が勉強はかどるんだよねー」
平沢、顔も上げずに答える。
―…いいけど…
私、大きく伸びをした。
「…パーッと遊び行かない?」
私の伸びを横目に平沢が言った。
―ん?
「遊びって?」
「ん〜…遊園地とか…」
「ぷっー…平沢かわいい」
「なっー何だよっバカにしてんだろ」
「してるー、だってかわいいもん!!」
私、平沢の頭をなでる。
「もういいよ」
平沢、私の手を払いのけ、頬を膨らまして勉強に戻った。
―ほんっとかわいい反応だなぁ…
「うそうそ、行こうよ遊園地、絶叫してスッキリしたいし。ね」
「だろ?いつ行く?今から?」
私の言葉を待っていたかのように平沢が身を乗り出した。
―変わり身早っ…
「今からはちょっと…」
「じゃあ明日」
平沢の目…キラキラしてる…
「うん…じゃあ明日…」
「よし、じゃあ俺帰る。明日の準備するから。じゃあな」
平沢、勉強道具を素早く直す。
「あっ、明日、駅に9時集合な!!」
大声が出せない図書館、平沢は私の耳元で興奮気味に言った。
ドクンッー
平沢の唇が耳をかすり、熱い息が平沢が去った後も耳元に残る…
―…熱っー…
ドクン、ドクン…
心地よい心臓の音と耳元の熱さ…
別に平沢を好きなわけじゃない。だって恋は自分に酔うという行為だから…自分に酔えない私は恋が出来ない。だから押し込んだ。耳元の熱も心臓の音も、自分のお腹の下の方に…ぐっ、と…
―…ただの暇つぶしよ…
そして言い聞かせる。
―そう、暇つぶし
確認すると口元が緩む。上手くいってる自分が嬉しくて…

次の日、9時過ぎ、私はゆるりと歩いて待ち合わせの駅に着いた。
「遅せーよ!!」
待ちくたびれたって感じの平沢…
「声でかすぎ…だいたい9時なんて早いよ〜」
「あのな〜一番のりで入るんだよ。で、弁当作ってきた?」
「は?何で」
「何でって、こういう時は手作り弁当がうまいんだよー」
悔やむ平沢。
「やーよ。彼氏なら頑張るけどー…平沢じゃあ〜ね〜、そういうのは横山さんの仕事デショ」
「…、そうですか、さぁ、いざ出発!!」
横山さんの名前を出したとたんに平沢は背を向けた。
―…え…まさかもう別れたとかないよね?ちょっと、それつまんないからっ
それから目的地までにもう一度横山さんの名前を出してみた。平沢は目をそらし、話題を避ける。
―ちょっとまじ?暇つぶしにもならなかったー…
私、一気にテンションダウン…
それを悟られないよう振る舞いながらテンション高い平沢に合わせていた。
目的地に着いたけどまだ開園前…
「だから早いって言ったのに」
「だから一番乗りするんだよ」
平沢、そう言うと入場券を買いに走る。
―…子供みたい…
私、平沢の後を追った。私が入場券売り場に着いた時にはすでに購入済みで、平沢が満面の笑みを浮かべていた。
「いくら?」
「いいよ、俺が誘ったんだし」
「ええーやだよ。払う」
「いいって…」
その時、平沢の携帯がなった。
「もしもし…」
平沢が背を向けた。
―おっ、横山さんね、うーん…微妙な感じなのかな〜…
「…分かったすぐ行く」
―ん?行く?
「武田ごめん!!」
平沢、私の方へ向き直り深々と頭を下げる。
「あのさ…あいつがちょっと…ーごめんっ誘っといて…」
「え…」
「悪い!!」
そう言って平沢は私の顔を見ることなく走り去って行く。
―…ちょっと…なにそれ……おもしろくない…
何が?…
ここまで来て遊べないこと?
置いてきぼりをくらったこと?
あの二人がまだ別れてないこと?
私を……私よりー私よりあの子を選んだこと?…
こみ上げる。怒り?悲しみ?…分からない…けど…
―悔しい…
私は持っていた入場券を強く握り締めた。


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