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「ジュリア」
【悲恋 恋愛小説】

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「ジュリア」-1

『泣かないで…ジュリア、君は人間になれたんだから…』

初めてジュリアに出会ったのは12月。雪の降る夜だった。
調度私が夕食のパンとミルクを買ってきた帰り道、私は彼女が倒れているのを見つけた。彼女は見るからにぐったりとしており、体がとても熱かった。私はその頃から医師としての資格を持っていたので、彼女を自分の家まで抱えていった。
彼女が目を覚ましたのはそれから三日後のことだった。彼女はジュリアと名乗った。私がなぜあんな所で倒れていたのかを尋ねると彼女は堅く口を閉ざした。そしてそんなことより助けてくれたお礼にこの家の家事炊事をすべて任せて欲しいと言った。私は掃除などが苦手だったので彼女の存在には助かった。

彼女がこの家に来て数週間が経った。私の家も前よりずいぶんと綺麗になっていた。彼女もやっと私に心を開いてくれたのか、なぜあんな所に倒れていたのかを話してくれた。彼女は幼い頃から両親がなく、祖父の家に引き取られていたのだがその祖父が死ぬ間際に彼女の両親について、父親は悪魔で母親は人間だと告白したらしい。彼女は悪魔だったのだ。
そのため彼女は一緒に居るだけで、その人の命を蝕んでしまい、長い間一緒にいればその人の命を食い尽くしてしまうというのだ。そのため彼女は自分は生きていてはいけないと感じ、死に場所をさがし歩いていたところを力尽きて倒れてしまったらしい。そして、これ以上一緒にいれば私の命までも蝕んでしまうと言って、彼女は泣いた。
次の日の朝早くに、彼女は出ていく準備をしていた。だが、私はそれを止めた。彼女と離れたくなかった。彼女は私のなかで特別な存在になっていたのだ。私は、彼女を愛してしまっていた。
そして私はそのまま彼女に、愛していると伝えた。彼女は泣いていた。

その日から私はある実験のために病院を閉めた。その実験というのはもちろん、悪魔を人間に変えるというものだ。実験を始めるにあたって、私は彼女との結婚も果たした。いろいろな道具を集め聖書等を読み、準備を整えた。そして私は悪魔を人間に変える方法を見つけたのだ。必要なのは純粋な血に眼球、心臓に聖水だ。すべてまだ子供の人間のものがいい。私は急いで病院に行き、まだ残っていた子供の死体を解剖した。まず血を煮だたせる。その中に眼球とすり潰した心臓を入れ、さらにその眼球の形が無くなるまで煮込む。それが済んだら聖水を1,2適垂らし、一日置いておく。一日置いて血が変色していなければ成功、変色していれば失敗。最初の実験は失敗。血が赤黒く変色してしまっていた。
それから何十日も費やし、何十回という失敗を繰り返し、何十体という死体を解剖した。そしてとうとう、病院の死体を解剖し尽くしてしまった。


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