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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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やっぱすっきゃねん!U…@-6

「新任及び退任の先生方を発表します」

進行役の声がスピーカーから響くと、一斉に生徒達の顔がステージに集中する。

佳代達野球部の連中は、別の意味で見ていた。

(ああ、やっぱり……)

ステージ上にいる榊の姿を。

まず新任の先生の挨拶が始まり、次に退任の先生の挨拶が始まった。

ひとり、またひとりと進み、拍手が起こる。

そして、榊の番となった。
スタンドマイクに近寄り、深々と頭を下げると、淡々とした口調で語り出した。

「…平成6年春に、青葉中学校に赴任してから14年間、気がつけば私が教員となって一番長い学校となりました。故に愛着はひとしおです。
特に翌年から野球部の指導を受け持ち、子供達のがむしゃらな態度に触発された思いがあります。
明日からは東海中学校に赴任となります。次に会うときはライバル校として、お互い頑張りましょう!」

榊が頭を下げると、大きな拍手が体育館に響いた。


こうして、榊は青葉中学校を去っていった。


実力テスト。

机の上で悪戦苦闘している佳代。
社会や理科、そして現国はなんとかなるが、英語と数学は苦手としていた。
特に数学。数字と数式が羅列するテスト用紙を前に、解答欄を埋められずに困まりはてていた。

(何でこんなの解く必要があんの……)

1次方程式に連立方程式、証明など、佳代の頭は問題すら理解出来ずに、額に脂汗を滲ませていた。

(あうう……ちっとも解らない)

空白が並ぶテスト用紙。
だが、無情にも時間は刻々と過ぎて行った。



「カヨ、帰るよ」

テスト用紙がすべて集められ、クラスメイトが帰り仕度に急ぐ中、佳代は机につっ伏していた。

机の横には、尚美と有理が立っている。

「いつまで呆けてるの。ホラッ、帰るよ」

尚美に促されて佳代は席を立ち上がるが、頭を垂れ、ため息を吐いている。

「……まったく解らなかった」

「解からないって、どこが?」

尚美と有理が声を合わせて聞いた。2人の言葉に佳代は呟くように、

「…数学……」

その答えに尚美は呆れた口調で、

「アンタ!解らないって、何問目って意味じゃないの?」

「…1次方程式が少しだけ……後はまったく……」

そう答えて、なおもうなだれる佳代の頭を尚美は笑いながらポンッと叩くと、

「まったく……野球はあんなに詳しいのに」

その時、有理は遠慮気味に言った。


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