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DEEP DIVER玲那〜闇に沈みし者〜
【ファンタジー 官能小説】

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DEEP DIVER玲那〜闇に沈みし者〜-20

 LL教室へ向かうとそこには生徒が二人待っていた。一人は玲那と同じくラスの少女であったが、もう一人は上級生だった。
「あ、あの、今日、ここで個人面談をするって聞いてきたんですけど…」
 顔を覗かせ、おずおずと訊ねる玲那。すると待っていた生徒の内、上級生の方が振り返り、玲那の問い掛けに応じた。
「ええ、そうよ。私は違うけど、LL教室の鍵を持っているから、片岡先生に先に行って教室を開けておくように言われたの」
「あ、はあ。そうなんですか…」
 玲那はそう答えると、教室の中へ入っていった。居心地悪そうに立っていると、その上級生が手招きをして微笑んできた。
「そんなところで立っていないで、こちらへいらっしゃいな。私はこの学校の三年生で英会話倶楽部の部長をしている清水英美」
「あ、はい。私は少し前にこの学校に転校してきた桜龍玲那と言います」
 二人が自己紹介すると、もう一人の生徒も口を開いた。
「桜龍さんとは同じクラスだけど、あまり話をしたことがなかったわね。私は下塚環。私も英会話倶楽部なのよ」
「へ、へえ。じゃあ、二人は同じ倶楽部の先輩後輩なんですね」
「ええ、そうなの。桜龍さんも、まだ何も倶楽部に入っていないなら、うちの倶楽部に入らない?桜龍さんみたいな可愛い娘が入ってくれれば私も嬉しいわ」
 清水英美はそう言うと、玲那の側ににじり寄った。熱っぽい瞳で見つめられ、玲那は引きつった笑いを浮かべる。
「あ、あの、私、どちらかというと英語は苦手な方ですからちょっと…」
「あら、そう言う子の方が指導のし甲斐があるというものよ。大丈夫、私が手取り足取り色んな事を教えてあげるから…」
「(だ、大丈夫じゃないわよ。英会話倶楽部って一体何の倶楽部なのよ〜〜)」
 玲那は心の中で悲鳴を上げたが、英美はまるで気にせず、じりじりと次第に玲那に近付いていく。
「先輩、ずるい、桜龍さんばかり。私も手取り足取り指導して欲しいですわ…」
 そう言って、二人の間に割り込む下塚環。妖しさ満点の二人に会話に、玲那は早く片岡女史が姿を現さないかと切に願った。
 そこへ、準備室のドアが開くと、待ちかねた片岡女史が顔を出した。
「あなた達、何を騒いでいるの?遊びではないのだから静かにしなさい」
 片岡女史の言葉ににじり寄っていた清水英美は離れ、玲那は救われた思いがした。とは言え、個人面談が楽しい物の筈もなく、玲那は深い溜息を吐いた。
「さあ、それじゃあ、どちらから面談しましょうか?私はどちらからでも良いんだけど、あなた達は?」
 言われて玲那はそそくさと立ち上がる。
「あ、それじゃあ、私からお願いします。ちょっと用事があるもので。…御免ね、下塚さん」
 この妖しい雰囲気から逃れようと先手を打つ玲那。しかし、下塚環は不興な顔を見せることもなく、うっとりと涙さえ滲んだ瞳で玲那の顔を見つめ、首を横に振る。
「ううん、良いのよ、桜龍さん。私の方は特に用事があるわけでもないし。それより…」
 恥じらいに頬を染め、瞳を伏せる環。顔を引きつらせながらも玲那は首を傾げる。
「そ、それより、何?下塚さん」
「あ、あの…それより、私のことは…環って呼んで」
「あ、あははは…」
 返事をすることもできず、力無く笑う玲那。そこへ、たまりかねた片岡女史が苛立った声を上げる。
「ほら、早くしなさい」
「と、とにかくお先に…」
 そう言うと、玲那は逃げるように英会話準備室へ飛び込んだ。
「し、失礼します…」
「まあ、そこに座って。…それで、前の学校の成績は…っと」
 玲那が椅子に腰を下ろすと、片岡女史は散らばった机の上から玲那の資料らしきものをかき集め、ざっと目を通す。


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