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アイしてる★☆
【悲恋 恋愛小説】

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アイしてる★☆-4

第四話
あくる日、二人はまたもや空を眺めていた。(信じらんねぇ・・)
カナタは今、なんと木の上にいたのだ。マモルはといえば、木に寄りかかり座っている。(お嬢が木登りかよ・・本当何なんだ、コイツ)
「ぷっ」
自然と、マモルは吹き出していた。
「何がおかしいのよ」「え?」
「今吹き出したじゃない!見てたのよ」
「・・・」
(そっか・・俺、今笑ったんだ・・)
長いこと本当に笑えることがなかったマモルにとって、それは地球が真っ二つに割れたぐらい驚きな出来事だった。
「何なのよ」
カナタは自分のおかしさに気付いていない。見た目は大和撫子的なお嬢様。それなのに、やることなすことはちゃめちゃなのだ。気が強く、意地っ張り。だけど一緒にいると居心地が安らぐ。きっと学園中の人気者だっただろう。理事長の孫という、肩書きがなければ。
「なぁ」
「なによ」
「俺とずっと一緒にいていいの?」
「!」
かなり遠回しな質問だったが、カナタははっきりとその意味が分かったようだ。不機嫌まじりの声で言う。
「関係ないでしょ、あんたになんか」
マモルは確信した。・・カナタには、友達がいない。本音をぶつけ合え、時には馬鹿なこともできる、友達が。皆は『カナタ』を見ようともしない。見るのは『桜華』という、高貴な家柄。カナタがLSを依頼した理由が、なんとなく・・わかった気がした。
マモルがいつになく真剣に考え事をしていると、いきなり上からカナタが飛び降りてきた。
「おわっ!」
そしてマモルの前に仁王立ちする。初めてあった日のように。
「明日10時にHEVENよ。」
「え!?」
突拍子もないセリフにドギマギする。
淡い何かが、マモルの心を占領した。
(デート、かぁ〜!)重なる二人の出会いの瞬間。しかしマモルはもう、『桜華』である少女を見てはいなかった。マモルだけが、『カナタ』を見ていたのだ。
形だけの『彼氏』『彼女』の関係は、夏の空に甘く溶け、徐々に崩れていった。

ミンミン・・ミーン・・
セミは鳴く。
これからの二人の祝福を願うかのように・・。
・・・・ミ・・ーン


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