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中嶋幸司奮闘記
【コメディ 恋愛小説】

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中嶋幸司奮闘記-5

「うーん……気になる」
教室で自分の机に頬杖をつきながら難しい顔をする俺に圭介が話し掛けてきた。
「まあ、なんとかなるだろ。香織は戦力外としても智香はあれでスパルタなところがあるしな」
「そうなのか?」
「まあな。あいつは自分のこだわりがある部分では本当に容赦ないぞ」
「そんな風には見えないけどなぁ」
圭介の話に驚く俺だったが、その様子を見て柊が話を繋いだ。
「まあ、一見ぽわぽわした印象が智香にはあるからな。だが、あの子は芯の強い子だぞ。自分のこだわっている部分には他人の事でも妥協はしないからな」
流石は智香ちゃんの友人といったところか良く知ってるよ。
「確かにあの子ってば見た目は可愛いのに妙なところで頑固なのよね」
とは、柊の横にいる美弥ちゃんのお言葉である。
「智香のやつ、家でも時たまおばさんくさい説教する事があるからなぁ」
そう言いながら苦笑する圭介だった。
「そういや柊、この前から言ってた手伝わせたい事だけど詳しい話を聞かせてくれないか」
俺の言葉が以外だったのか柊は少しだけ目を見開き驚いたといった感じの表情を一瞬見せると、すぐにいつもの表情になり美弥ちゃんに目配せをすると説明を始めた。

概要はこうである。

ある程度以前から学園内で藤崎美弥の私物が無くなる事が頻発している。
当初はペンケースやちょっとした小物程度だったので、本人は芸能活動をしている自分への嫌がらせ程度と考えていた。
しかし、最近になって体育の時間に使ったTシャツが盗まれた。
これは流石に気分が悪いを通り越し、気味が悪いので、最近友誼を結んだ柊に相談したのだが、切れ者で有名な柊とはいえ女の子であるから変質者じみた行為をする正体不明の者と対峙するのは危険と判断した二人は、手足となって動いてくれる信用のある男子を探したところ俺の名前が出てきて現在に至るという事だった。
「まあ、信用があるかと言えば微妙だが、中嶋の扱い易さは女子の中では定評がある。それに単純だが身体能力の高さも評価出来る」
「おい! 柊、お前ってば何気に俺をバカにしてるだろ」
「いやいや、そんな事はないぞ。私はちゃんと中嶋を評価しているのだが気に障ったようだな」
「あれは評価してるとは言わん! 俺はお前にそこまでバカと思われているのかっ!?」
「そんな事はないぞ。なあ、美弥」
急に同意を求められた美弥ちゃんは慌てた表情を見せたが、すぐに笑顔を見せて頷いた。
「そうね、中嶋くんって明るくて楽しいだけじゃなくて女の子に優しい紳士だから私も頼りたくなっちゃうかも……」
現役アイドルに頬を染めながら上目遣いで見つめられたら男として断れないじゃんよ。
「よっし! わかりました!! 不肖、中嶋幸司が美弥ちゃんの為に全力を尽くしましょうっ」
「はぁ……バカが……」
「ん? どした、圭介」
「いや、何でもない。まあ、幸司なりに頑張ってくれよ。それと柊、あまり無茶させるなよ」
「それはもちろんだ。中嶋に暴走されてミイラ取りがって事は私もごめんだ」
呆れた顔の圭介と含み笑いの柊が何やら話をしているが俺は気にしないのだ。
何せ美弥ちゃんが俺を頼ってくれたって事はチャーンス到来だしね。


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