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ジャンプ!
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ジャンプ!-6

中洲の明治通り、博多座の真向かいに待ち合わせの場所は有る。直海はその手前でタクシーを降りると時計を見た。

(6時5分前。良い時間だ)

直海はゆっくりと待ち合わせ場所に歩き出した。すると、林と夏川はすでに待っており、彼に手を振っている。

直海は2人に頭を下げる。

「今日はありがとう。オレの誘いを受けてくれて」

「だって3年越しだもん。楽しみにしてたわ」

林が笑顔を見せながらそう言う。聞けば2人共、定時で仕事を終わらせると、急いで着替えて地下鉄に乗ったらしく、〈喉カラカラ。今日は呑むわよ〉と意気込んでいた。

「あれっ?タイムトンネルゲートじゃないか。いつ出来上がったんだ?」

直海の真後にそびえ立つ、レンガ色とオレンジ色のカラフルなビル。彼が辞める寸前までその完成に携わっていた旧玉屋跡地に建てられた複合商業施設。通称タイムトンネルゲート。

直海の言葉に、林がノンシャランな表情で答える。

「予定通り今月の21日にね。全く!浦島太郎みたいになっちゃって」

彼が辞めて1ヶ月になろうとしていた。

(完成日は1年前から知っていたハズなのに、それすらも忘れていたとは……)

かつては真上から眼下を眺めていたのが、今は真下から見上げている。なんと対象的な事か。

「…さあ行こう。こっちだ」

直海はかつて手がけたビルを背にして〈田舎〉へと向かった。

中洲大通りを国体道路方面へと歩くと中洲交番が左手に見える。その手前に多門通りがあり、その通りに入って左手の2軒目に店はあった。
間口4尺ほどの扉がひとつ。扉に〈創作茶屋田舎〉と書かれているだけで、外観からはスナックかバーに見間違う。

「こんばんわ!大将、久しぶり」

直海が扉を開けて中に入る。
入口の土間は半畳位で、直ぐに1段上がって板間りになっている。1階はカウンターのみで、6〜7人でいっぱいになる。カウンター横に急な階段があり、2階の卓上席への道だ。内装の造りは古民家のようで昭和初期の雰囲気を醸し出している。

「じゃ〈個室〉借りるよ」

直海はそう言うと〈階段が急だから〉と2人を気遣いながら2階へと向かった。
林と夏川は辺りを見渡しながら直海について行く。

2階の奥間。唯一、襖で周りと〈遮断〉出来る部屋。ここが今夜の酒席だ。
林や夏川はやや緊張した面持ちで、内装を確かめながら個室に入る。
天井は無く、その場所を十字に重なる太く歪んだ丸太が通る。
壁は土壁で荒く塗られている。

「なんだか圧倒されるような造りね」

「エエ、昔、おばあちゃん家で見たような感じです」

2人は喜んでくれている。直ぐに藍色の作務衣姿に坊主頭の店員が、〈お品書き〉とお茶、オシボリを持って来た。


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