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ジャンプ!
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ジャンプ!-3

「…お、覚えててくれたんですか?」

「当たり前だろう。特に君は苦労掛けたからね。今日までありがとう」

相馬は右手を差し出す。直海は両手でそれを握り、無言で頭を下げるだけだった。

人前で泣くなど恥と思っている直海だが、この時ばかりは溢れる涙を拭おうともせず漏れる嗚咽を抑える事が出来なかった。


最後に事務所の仲間達へ挨拶すると、直海は自分の荷物をまとめたダンボール箱を抱えて会社を後にしようとしていた時、出入口のドアーの向こうに人影が見えた。

直海が見ると、そこには総務の林と夏川が花束を持って立っていた。2人とも直海とは親しい女性社員だ。

林が直海に聞いた。

「貞本さん、会社辞めちゃうんですね……」

「ああ、君たちにも色々迷惑かけたね。お別れだ」

その時、夏川が涙声で言った。

「…何で…何の相談…も…してくれななかったんですか……」

夏川は俯いて肩を震わせている。

「お、おい!」

直海は慌てて外に出ると、ドアーを閉めた。しかし、彼女が泣き出した意味がよくわからなかった。

「そんなに泣くなよ。今生の別れみたいに。また、何時でも会えるさ」

「このコね、貞本さんの事が好きなの」

林が察して直海に説明する。

「それこそ10年前から……以来、ずっとアナタだけを見てたって。それだけで良かったんだって……でも、アナタ今日で辞めちゃうでしょう。だから想いを伝えに来たの……」

〈なるほど〉と、うなずく直海。夏川はいつの間にか涙は止まり、潤んだ瞳で彼を見つめていた。

そう言われれば思いあたる。
会社での宴会や旅行などの行事の時に、よく夏川がそばにいたのだ。
しかし、直海が好意を抱いていたのは、むしろ林の方だった。
しかし、彼女は既婚者だった。だから自分のそんな気持ちを押し殺して、良き友人として接してきた。

「よし。今度、お互い時間を作って一緒に食事に行こう」

去り際、直海はそう言うと、林のアドレスを聞いた。

「じゃあ連絡するよ。今までありがとう」

そして右手を差し出した。
夏川が直海の手を握る。その瞳からは、また涙が溢れていた。


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