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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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飃の啼く…第17章-22

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「…俺はいつだって雑用だよなぁ…ほら、しゃきっと歩けよ、おっさん!」

猿轡をかませられ、脂ぎった額に玉のような汗を浮かべているこの男は、チンピラを使ってさくらを捕まえさせた張本人にして、今回の事件で金銭的損害を最も被った暴力団幹部の仲村だった。年端も行かぬ少年が、いきなり事務所に乱入してきたと思えば、瞬く間に護衛を使い物にならなくさせ、仲村を縛り上げるとここへ連れてきたのだ。



カジマヤは、先ほどまで彼と飃が居た部屋に、仲村を放り投げた。

「どうだい?鬼さんよ、あんたの探してるのはこいつかい?」

仲村は、カジマヤの手荒な歓迎に文句を言うどころではなかった。薬の吸いすぎかどうか、自問する前に彼は気を失った。

鬼はその男をしげしげと見て、深く匂いをかぐ。どさっと地味な音を立てて突っ伏した仲村に、カジマヤは顔をしかめる。

「ありゃりゃ、根性ねえんだから、このオヤジは。おい!」

カジマヤが、男を足でつついた。

「おー、こりゃ立派なメタボだ…刑務所の飯で、せいぜい減量するんだな!」

カジマヤの独り言を、鬼が遮った。

「…近い……。」

「え?」



鬼は、目を爛と輝かせて、その男をねめつけた。そして、今迄で一番明瞭に、この言葉を発したのだ。

「ソノ男カラ…匂イガスル…私ノ娘ヲサラッタ…」



「…アカネをサラッタ男ノ匂イガ…!」


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