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ペナルティ・ゲーム
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ペナルティ・ゲーム1-1

「…はあ〜〜〜っ…」

 大きな溜め息が部屋の空気を一層重くしたような気がした。

 溜め息の張本人は、この部屋の主である。
 高橋 康太(たかはし こうた)16才、高2。

その溜め息の原因は英語の中間テストの結果―。…なのだが、その点数は88点。決して悪い点ではないし、普段の康太から比べれば、むしろ喜ぶべきものである。では何故溜め息なのか…?
康太には英語の家庭教師がついている。名前は松山 恵理(まつやま えり)20才。現役の女子大生である。
 康太はその家庭教師とある賭けをしていた。それが今回のテストで、ボーダーラインが90点だったと言う訳だ。
負けた方は次回の授業の時間中、勝者の言う事を聞くと言うシンプルだが最も恐ろしい内容であった。

ピンポーン!

「こ・う・た・く〜ん!」
厚い金属製のドアの向こうからいつもより1オクターブ高い家庭教師の声が響いてくる。

実は康太はテストの結果が恵理に知られる前に偽造しようかとも考えていたのだが、たまたま答案を目撃した母親がその点数に大喜びし、電話で恵理に結果報告をしてしまった為その計画は未遂に終わり、あっけなく罰ゲーム執行の日を迎えてしまったのである。
康太は嫌々ながらもドアを開ける。

ガチャッ

「…いらっしゃいませ。」
「んふふ〜。こんにちわぁ。テスト、だいぶ頑張ったみたいだねぇ〜?エライエライ!」

「…くっ…!とりあえず、どーぞ!」

「おっじゃまっしま〜すっ!康太君、なんか暗いけど大丈夫〜?あははっ!」

背中に影を背負った康太の後を満面の笑みを浮かべた恵理がついてくる。恵理は康太の部屋に入ると早速答案をチェックし、採点ミスがない事を二人で確認した。

「あぁ〜っ、でも88点かぁ!本当に頑張ったみたいね。スゴいよ、康太君!私も家庭教師した甲斐があったってもんだわ。」

「スゴいでしょっ!?マジで頑張ったんスよ〜!この努力に免じて今回の賭けはなかった事に…」

「…はならないっスよ〜。それとこれとは別ですからねぇ。お約束は守ろうね?」

「…やっぱりね…」

「…でもね、ここまで頑張ってくれて私、本当にうれしいんだよ。やればできるって分かったでしょ?」

「先生…。じゃあ罰ゲームの方は…?」

「予定通りこれからあなたは私の言うなりよ。結構ねばるのね…往生際が悪いぞ!」

「…すいません。では神妙にいたします。」

「よろしい。ただ、康太君の努力に免じて…気持ちのいい罰ゲームにしてあげるからね…。」

「!?気持ちのいい罰ゲーム!?まさかそれは…」

ちなみに康太は、賭けに勝った場合は恵理を相手に童貞卒業しようと企んでいた、健全な青少年だ。

「…どぉ?それなら言う事聞いてもらえるかな?」

恵理がテーブル越しに顔を近付けて言う。その整った顔立ちとパッチリ二重の可愛い瞳が康太をじっと見つめている。


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