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つかの間の愛情
【その他 恋愛小説】

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旅立ちの日-4

「オマエこんなモンどこ……!」

そう言えば一度、土田が学校にカメラを持ってきた事があった。何かに投稿するとか言っていて、あの時は気にも留めなかったが。
一巳は土田を睨みつけた。土田はとぼけた顔でソッポを向いている。

「土田ぁ、オマエもグルだったのか!」

「雅夫には私が頼んだの!一巳さん写真撮られるの嫌がるでしょう」

「ちょっと待て!」

一巳の問いかけに半ばうんざりする美那。

「な〜にぃ。まだ何かあるの?」

「肝心な事に答えていない。写真を見せたのはいい。だから何故彼女の相手がオレなんだ?」

美那は〈ン〜それは〜〉と歯切れが悪い。美那は土田の目を見た。何か無言で相談しているようだ。土田は小さく頷いた。それを見た美那は決心したように、

「私達の中じゃ一巳さんが一番まともだから。それと……この間までの女性との付き合い方ね。雅夫に聞いたわ。付き合ってた彼女を立ち直らせたって……」

(土田のおしゃべりめ!)

一巳は心でそう思った。それは半年ほど前に別れた恵子の事だった。

「ね、里香も〈一巳さんとなら〉って言ってるの!一巳さんしかいないの!」

頼まれると断わり切れない一巳の性格を見抜いた美那の戦略だった。

「分かったよ!デートでも何でもしてやるよ!」

その言葉に美那は喜びいっぱいの表情で、

「ありがとう!!きっと里香も喜ぶわ」

一巳は少し悪態をついて、

「デートって言っといて最後まで行っても知らねーぞ!」

「それはお互い次第じゃない?案外、遠距離恋愛もいいかもよ!」

「もう帰る!」

一巳は照れを隠すように、怒ったふりをして帰ろうとしていた。が、美那が、

「ちょっと!日程はどうするの?」

一巳は部屋から出る態勢のまま、

「そっちでリストアップしてくれ。合う日を伝えるから……」

それだけ言うと、一巳は帰っていった。

「大丈夫か?何か怒ってたぞ」

土田の心配をよそに美那は自信いっぱいで語った。

「大丈夫よ!今日、見たけど楽しそうだったし……うまくいくよ」

そう言って美那は土田に笑ってみせた……


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