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BUCHE DE NOEL
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BUCHE DE NOEL-8

俺が家に着くと、ミキやマヤが、母さんがつくる料理をテーブルに運んでいた。
「おぉーうさぎ」
「うさぴー座って座って!」
と、俺はソファーに座らされる。最後まで料理を運び終わると、母さんがコップにジンジャーエール(俺の好きなカナダドライ)をついで、人数分持ってきて席についた。
「それじゃ、うさぎの退院を祝って」
「かんぱーい」
和也の音戸でパーティーが始まる。俺の両サイドには、母さんの目も気にせずに(まぁ母さんは気にするタチじゃねぇけど)女二人が座っている。
「パーティーさぁ、合コン風に出会いパーティーにしようと思うんだけど」
「おっいいね〜」
「24日にミキん家でするから、この紙に書かれたこと、アメフト仲間に送っといてね」
「はいはい」
ちらっと目をやると、母さんと和也と孝嗣の三人で話をしている。不意に、母さんが淋しそうに笑ったのが気になった。
「うさぴー?」
「ごめん、よそ見した」
「うさぴーはいっつもよそ見だよねぇ」
「民主主義と言ってくれ」
「何それー」
俺はいつものペースを取り戻しつつあった。みんなにやさしく。平等に。



俺の得意技。回避術。



何の回避?



「そんじゃぁねぇー」
「また24日ね」
パーティーは夕方までダラダラと延び、終わる頃にはすっかり空は暗くなっていた。
「うさぴー送ってくれないの?」
「いや、今日はちょっと…」
車のなかでまりあにメールを送ったきり、携帯を触っていないことで俺はそわそわしていた。
「わかった、やみあがりなのにごめんね」
んじゃぁ和也と孝嗣でイィやぁ、とマヤが言ったことで、彼等も強制的に一緒に帰ることとなった。
「すまねぇ」
「いいよ、じゃ、またな」
「あぁ」
ばたん、とドアを閉めると、母さんがボカッと俺を殴りつけた。
「いてぇよ!」
「中途半端してると次は誰かを傷付けるよ!」
そう言うと、晩御飯の支度を始めた。今日は父さんが早く帰るらしい。
「んだよ、わけわかんねぇよ」
「わかれよ!!」



このとき、わかっていればと、何度後悔しただろうな。



俺は殴られた頭をさすりながら自分の部屋へと向かう。上着から携帯を取り出すと、ピカピカと点滅して、メールが届いていることを知らせる。
『まりあです。
Xmasは24日だよ〜!25日はサンタさん来たあとだから嫌だよ(>_<)24日のお昼がいいなぁ!ランチしながらのんびり街あるこ☆』
彼女らしいメールだと思った。一人、部屋でにんまりしてしまったことに気持ち悪さを感じて咳払いをする。……24日?
「げっ!パーティー…」
ばっと、概要の書かれた紙を見る。そこには24日PM7時〜、とあって、俺はほっとため息をついた。
『そうしよっか。すげえたのしみ☆』
そう送信して、俺はまりあのことを考えた。
そうだ、何かプレゼントを買って行こう。
さっそく明日買いに行こう。
またにんまりしていたら、母さんがドアをばん!と急に開けた。
「買い物ついてきて荷物持ちな!…何笑ってんの?」
父さんは母さんと結婚して後悔はないのかとしみじみ俺は思った。


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