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ゆきのした。
【家族 その他小説】

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ゆきのした。-12

 姉ちゃんの湯上がり時には既に十一時になっていた。

 ソファーに座ってテレビを見ていると、姉ちゃんが話しかけてきた。

「父さん…いつ帰ってくるのかなあ」

「遅くなるって言ってたからね。 十二時過ぎ辺りになっちゃうと思うよ」

 常々父さんが帰ってくる時間帯は七時頃、比べて現在の時間は十一時。
 やはりそれほどに遅くなるのだろう。

「眠い?」

 返事は「んーん」と首を小さく振るだけだった。 けれども目元を軽く擦る姿を
 見てしまえば一目瞭然。 更に欠伸が追加で来たら完璧だ。

「無理しなくてもいいよ」

「…眠くないってば」

 そう言い、トテトテと僕に近づいてくる姉ちゃん。

 何をしてくるのかと思い身構えていると、僕の横で横になり、しかも
 僕の膝に頭を乗せてきた。 …拍子抜けした。

「…何してんの」

「ひざまくらー」

「…はぁ」

 つい姉ちゃんの頭へと手が伸びる。

 優しく撫でてみた。 しっとりしててさらさらした感触だ。 僕の頭髪じゃ
 到底真似出来ない。

 ほんのりとりんごの香りが鼻腔をくすぐる。 これは…姉ちゃん専用のシャンプーの匂いか。

「…………そんなことされたら眠っちゃう気がする……」

「別に眠ってもいいんだけど…止めた方がいい?」

「…なんで止めるの」

「……ええ?」

「……………」

 それ以降は何も喋らないので、撫で続けることにした。

 姉ちゃんを見ると、湯上がりのせいか、頬が赤く染まっていた。

 きっと桜色とはこの色を射すのだろう。



 ちょっとしたデジャヴを感じる。 …そう、僕が小さかった頃、逆の立場で
 母さんに頭を撫でられていたんだ。

 たしかこうして…一定のリズムで撫でながら、髪を悠々と整えてくれていた。

 飽きることなく、長々と…。


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