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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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社外情事?〜鬱屈飲酒と意外情事〜-2

直後、彼はその女性をまじまじと見ている自分がいる事に気付いた。すると不意に自分が下心をもって見ているような気がして、慌てて目を戻す。
「おや、珍しいですな、貴女がここに来るたぁ」
店主はしまいかけた酒瓶を脇に置きながら、さも意外そうに呟いた。その言葉から推し量るに、どうやら彼女は久しいながら、自分と同じ常連らしい。
「えぇ。今日は久しぶりにここで飲みたくなって」
色香を含む、澄んだ声。彼女が小さなため息を織り交ぜながら答えた後、ヒールの音が誠司の耳に入った。その音はあっという間に大きくなり、彼の隣でぴたと途絶える。
「隣、いいかしら?」
すぐ傍で、女性の声が問いかけてくる。しかし誠司は自身の中での気まずさから、顔をそちらに向ける事ができない。
もっとも、その申し出を断る理由も特にない。元々がカウンター席だけの小さな店だ。下手に席の間隔を空けられて、その後にタチの悪い客に座られるよりは、美人に座ってもらった方が気分的には楽だ。
ひとまず手元にあるグラスに口をつけて誤魔化しながら、申し出を受け入れる。
「だ、大丈夫です」
「ありがと」
すると女性は律儀にも軽い会釈を返してから、隣の席に座った。その挙動に、彼の中で彼女への「絵になる美人」のイメージが更に強くなる。
「いつものあれ、お願い。久々に飲みたいわ」
「はいよ」
女性の注文に店主は、グラスを取り出す。続いて、脇に置かれていた酒の瓶を取り、中身が注がれていく。
女性の言う『いつものあれ』。それが、誠司がこの店で唯一飲む、一番安い酒である事に気付いたのは、酒を注ぎ終わって数拍立ってからだった。
(ふぅん、俺と同じなんだ……)
ちびちびと酒を飲みながら、そんな事を考えていると。
「二人とも、物好きですな」
不意に、店主が口を開く。グラスを女性に差し出し、今度こそ酒瓶をしまいながら彼は言葉を続ける。
「一応、酒は色々揃えちゃいるんですが……味も値段も大して高くないこの酒を好んで飲むのは、貴方がたを含めてもそうはいませんよ」
「まぁ、確かにそうかもしれないわね」
差し出されたグラスを取り、一気に半分程飲むと、女性は頬杖をつきながら口元にうっすらと笑みを浮かべた。
「いろいろお酒は飲むけど、確かにこれは値段相応の味だわ。正直物足りない感じ。でも、ここに来ると無性にこれが飲みたくなるのよね……」
そう呟いて、彼女は一息。そして「焼鳥、かわ四本ちょうだい」と続けた。店主は「あいよ」と頷き、年相応ののっそりとした動きで冷蔵庫に向かう。
それを見届けた女性は、再び酒を呷った。グラスが空になり、テーブルにことり、と置かれる。
「君は、どうしてなの?」
不意に彼女は誠司に顔を向け、問いかけてきた。
しかし、投げかけられた疑問の意味がわからない。彼はそちらに顔を向け、思わず聞き返してしまった。
「は……ど、どう、とは?」
「こ、れ」
彼女は笑みを崩さぬまま、誠司のグラスを指で軽く弾く。
「ああは言ってみるけど、結構気に入ってるの。でも『気に入った』って言って飲んでくれる人、なかなかいないのよ。結構な人数に勧めたんだけど、みんな嫌がっちゃって。だから、私と同じようにこれを好んで飲む人に会えたのが嬉しいの」
顔を誠司の方に向け、まっすぐ目を見て、彼女は話す。その視線と、彼女自身の美貌が相まって、誠司は彼女から視線を外せなくなった。
近くでまじまじと見て初めてわかるが、どうやら彼女は化粧らしい化粧をほとんどしていないようだ。強いて言えば、口元に引いた紅いルージュくらいしかわからない。余程素肌に自信があるのだろうか。
その素肌が、少しだけ迫る。視線を戻そうとするものの、既に絡めとられてしまったがために、美しい顔から目を離す事ができない。
「教えてくれる? 君がこれを飲む理由」
唇が開き、澄んだ声が誠司の鼓膜を震わせる。


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