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jam!
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jam! 第4話 『Hello! pretty ghost girl.』-2

――ピン、ポー―ン…

無反応。
もう一回鳴らしてみる。

――ピン、ポー―ン…

……やはり反応無し。
あれ?なんかデジャブが。そうだ、確かあの時は悠梨ちゃんが後ろに立っていて……

「あれ?リショー君、何やってるんですか?」

……今回もいた。
悠梨ちゃんは階段の下からこちらを見上げていた。

「いや、呼び鈴鳴らしてみても反応なくてさ。もしかして中、誰もいない?」
「いえ、多分秋次さんが…………あ」

そこまで言って二人同時に何かを理解した。
事務所の扉を開ける。
その一番奥。所長のデスクに二階堂さんが腕を組んで座っていた。

「あれ?起きて…」
「いえ。待ってください」

二階堂さんの目はサングラスで覆われていたため開いているか分からないが、耳を済ませば聞こえる。

…………いびきが。

「サボるなぁぁっ!!」

ブンッ!

―――ゴガンッ!

悠梨ちゃんは叫ぶと同時にとりあえず身近にあったモノをぶん投げた。
……正確には、机の上に置いてあった金属製で重量感のある灰皿を。
頭に直撃した二階堂さんは、もちろん後ろに吹っ飛んだ。

「悠梨ちゃんストーップ!灰皿は危ない!灰皿は!」

灰皿って殺人事件の凶器にもなるんだぞ!?
た、探偵事務所内でまさかの殺人事件が……!

「大丈夫です。秋次さんはあの程度じゃビクともしませんから」
「いや、さすがにあれを喰らってなんともないってのはいくらなんでも…」

と。所長デスクの向こう側から、二階堂さんがむっくりと顔を出した。

「悠梨……貴様は助手として探偵への敬意というモノは持ってないのか……?」
「サボる人には必要ありません!………ね?無事だったでしょ?」
「…………………」

……もういい。
この人達に常識を当て嵌めようとした僕が間違っていた。

「おや、リショー君もいるじゃないか。学校はどうしたんだ?サボりか?」
「今日は日曜日ですよ…。それより二階堂さん、灰皿当たったのに痛くないんですか?」
「ふっ。愚問だな」

二階堂さんは得意げに笑って告げた。

「――死ぬ程痛いに決まってるだろ?」
「……なんか見た感じ結構平気そうじゃないですか」
「甘いな。探偵とは常にポーカーフェイス!これ基本だ」
「要するに、痛いのにやせ我慢してる…と。」
「お前な、人がせっかくカッコ良く言い換えたと言うのに……」

確かに灰皿で強打されても表情をあまり変えないのは凄いと思うが。
……無駄な努力と言えなくもない気がするのは僕だけだろうか。


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