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全シン全レイ
【コメディ 恋愛小説】

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全シン全レイ-2

「痛むか?」
「…キスしてくれたら治るかも?」
「…そうか」
慎くんの整った顔が近づいてくる。
「ウソウソウソ!!冗談!!」
おかしい!
いつもだったら、人前でキスなんて絶対にしてくれない。
「慎くん、どうしたの?変なもの食べた?頭ぶつけた?」
「いや」
「じゃあ、なんで?なんか…怖いよ」
「…怖い?」
絆創膏を貼りかけていた手が止まる。
その背中から、ただならぬ負のオーラを感じる。
「こんなに優しくしてやってんのに、なんで‘怖い’なんだよ!!ふつーは‘嬉しい’だろ!?」
ついに、慎くんの正体が現れた。
必死に謝ると、『そうゆーんじゃねぇ!‘ゴメン’とか求めてねぇ!!』と、怒りを増長させてしまった。
「ど、どうして優しくしたの?」
「おまえが外見しか褒めねぇからだろーが」
「い、いいじゃん。外見は大好きなんだか…」
「ずりぃだろっ!」
最後にそう叫ぶと、慎くんは少し落ち着きを取り戻したらしく、フゥとため息をついた。
「ずるい?」
「俺は……のに」
慎くんはふて腐れた表情をして、ぼそぼそと言う。
「俺はおまえの外見も中身も…嫌いじゃない…のに」
「え?」
「…俺は!おまえの全部が好きなんだよっ!!」
真っ赤な顔の慎くんに、真っ白な頭の私。
これは、現実?
あの慎くんが、私のこと、好きだって…。
私に中身も好きになって欲しくて、苦手なのに優しく振る舞って…。
「好き」
「…あ?」
「中身も好きっ!好きになった!」
慎くんの胸に飛び込む。
ううん、‘好き’なんてレベルじゃない。
これは…。
「愛してるっっ!!」
「…離せ」
「いやっ♪もう、離れられない♪♪」
「キスさせろ」
「いいよぉ♪…って、ええ!?」
私の叫び声は、慎くんの唇に掻き消されてしまった。
ああ、本当に離れられないかも…。
私たちは、人目も憚らずにキスを続けた。


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