投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

是奈でゲンキッ!
【コメディ その他小説】

是奈でゲンキッ!の最初へ 是奈でゲンキッ! 66 是奈でゲンキッ! 68 是奈でゲンキッ!の最後へ

特別興行 がんばれ田原くん! 『是奈と愉快な中間たち 2』 後編-6

「どーしよー! ねーねーどうしよー佐藤さんっ!!」
 是奈も本当に困ったと、悲壮な顔をしながら都子の腕を引っ張ったりもするが。相変わらず嘉幸は、白目をむいてくたばったままである。
 都子も一生懸命、なにか名案は無いものかと、試行錯誤するものの。
(私の体内バッテリーを使って電気ショックを与えれば、田原くん生き返るかもしれないけど。是奈ちゃんが見てるしぃ…… 田原くんにも『ぜってーお前がサイボーグだって他人にバレル様な事はするなよなっ!!』って言われてるしぃ)
 と、考えあぐねるばかりであった。
 すると。
「そうだわ! ちょっと危ないんだけど…… これ使っちゃおうかなっ!!」
 是奈が突然何か思い出したかのように、立ち上がり、スカートのポケットの中から小さなドリンク剤の瓶を取り出したではないか。
 それを見て。
「朝霞さんっていつも栄養ドリンクとかって、持ってるよな。そんなに身体とか弱かったっけ?」
 章吾も是奈の手に握られている小さなドリンク剤を覗き込みながら、そんな事を言ったりもする。
 さらには都子も、自分も何かないものかと、着ている服のポケットやスカートの中をまさぐっていた。
 是奈は急いで持っていた栄養ドリンク剤を嘉幸に飲ませようと、瓶の口を嘉幸の口に近づけはするものの。気を失っているらしく嘉幸は口を開いてくれない。このままでは飲ませる事ができないと感じた彼女は。
「こうなったらしかたないわ! あたしが口移しで飲ませるしかないわ! たしか救急救命の講習にそういうのがあったはず!!」
 そう言いながら何を思っているのやら、意味深にも「フヘヘヘッ」なんて、ニヤついたりもする。
 そんな是奈の悪意に満ちた妄想を、都子も鋭くキャッチしたのだろう。そうはさせまいと、嘉幸の肩を鷲づかみにするや、すかさず嘉幸の体をプロレス技の『キャメルクラッチ』でも掛けるかのように、おもいっきり海老(えび)反りにさせた。そうして。
「田原くん! これでも飲んで根性入れろー!」
 と、無意識に広げた嘉幸の口の中に、見つけた『七味唐辛子』を全部いっぺんに、その口の中へとぶちまけたのだった。
「ああー! 佐藤さんズルーーイっ!!」
 先を越されて焦ったか、是奈も負けじと持っていた『細胞強化活性剤 混ぜるな危険』などと書かれたドリンク剤を、嘉幸の口目掛けて、流し込む。
「んご! んごごごんご!!」
 嘉幸は無意識のままにも手足をジタバタとせながら、それでも一気に、口の中一杯の威容物を見事なまでに飲み干す。
 するとそれを見て。
「やったー、成功だわ!」
「イエーイ!」
 などと是奈と都子は、手を叩き合って大喜び。
「すげーぞ田原! それでこそ男だ!!」
 章吾もまた、訳の解からない感動に心ふるわせながら、空を仰いで男涙に暮れるのだった。
 しばらくして。
 突然嘉幸の体が眩しく光だしたかと思うと、同時にゆっくりと彼は立ち上がった。何気に髪の毛も光って逆立ちはじめ。これじゃあまるで、以前テレビアニメで流行っていた『ゴラドンビールZ3』の某スーパーサ○ヤ人みたいだったりもする。
 都子は嘉幸が立ち上がった事で、背中からずち落ちそうになるが。それでも落ちまいと、必死に嘉幸にしがみ付いていた。
「田原くん!?」
「田原く〜ん。ねえどうしちゃったの田原く〜ん……」
 是奈と都子は心配に成り、そろって彼に声を掛けるが。
 そんな声も聞こえないのか。嘉幸は黙ったまま、そしてややうつむいたまま。
「熱い……」
 そう一言、呟くだけである。
「え! なに! なんて言ったの?」
 都子が恐々、嘉幸の耳元でささやくように聞き返すも。
 そると嘉幸、全身に力を入れながら、
「熱い! 熱いぞーー! 体が鬼のように熱いぞーーーーーーーーーーっ!!」
 突然叫び出したではないか。
 そして嘉幸の体はますます光輝き、とてもまぶしくて見てられないほどになっていた。


是奈でゲンキッ!の最初へ 是奈でゲンキッ! 66 是奈でゲンキッ! 68 是奈でゲンキッ!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前