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是奈でゲンキッ!
【コメディ その他小説】

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特別興行 がんばれ田原くん! 『是奈と愉快な中間たち 2』 後編-5

「そんな訳で、今日はこの辺り一帯はお祭り会場さ。俺んとこ以外にもほら、綿飴やら、やきそばやら、クレープ屋なんかも有るぜ!」
 そう言いながら章吾は通りを一通り指差して見せる。確かに、いろいろな屋台が道路の両側の、いたるところに点在して、それに群がる客の姿なんかも少なくない。
「なるほど」
 と都子も納得したらしい。頷いていた。
「そんな事よりさぁ。たこ焼き買わねーか! サービスしとくぜ!!」
 そう言われると、辺りに立ち込めるソースの焦げる良い臭いと、なにげに走り回ったせいか、なんとなく小腹がすいた気にもなる是奈と都子だったりもする。
 しかし。
「どーしよっかな〜」
 是奈はこんな所で買い食いしている場合じゃないし、と迷ってもいるものの。
「あたし買う! 大玉タコ!!」
 と、なにげに声高らかにして、取り出した財布を天高く掲げる都子に。
「あいよー!」
 と、軽快に章吾が受け答えるのを見ると。
 是奈もなんだか、そそられる。
「ああっじゃあ、あたしも!」
 手を上げて、彼女もまた大玉たこ焼きを注文していた。
「よっしゃーまいど! 大玉タコ2人前ね!」
 章吾は素早く、焼きたて大玉たこ焼きを、透き通ったプラスチック製のタッパ2つに、6こずつ詰めると。2本用意したつまようじに、大玉たこ焼きを1ッ個ずつを刺して、嘉幸を尻に敷いた都子と是奈の前に持って行くべく、屋台から出たのだった。そうして、たこ焼きパック1つずつを二人に渡すと、
「ほいよ! こいつはサービスだ!」
 と、ようじに刺した、たこ焼き1ツづつも、二人に渡しす。
 都子は早速、もらったサービス大玉たこ焼きを口の中に放り込む。
「おいひー!」
「ほんとぉ、タコでかー!」
 是奈も、中に入っているタコの大きさに驚きつつ、二人は仲良く、章吾のたこ焼きに舌鼓を打ち。
「だろだろ! 俺っちのたこ焼きは、そん所そこらのやつとは訳がちがうんでぃ!」
 と自慢下に、またまた鼻の下を指でこすって見せる、章吾であった。


「あー美味しかった(喜)」
 都子は満足げに、口の周りを青のりだらけにして、プラ製タッパに残ったマヨネーズ&ソース&鰹節をペロペロ舐めていた。
「ほーんと、さすがね斉藤君。あなた才能あるんじゃない。このまま料理人でも目指したら」
「そうかなぁ。料理の専門学校への進学…… やっぱ考えてみるかなぁ」
 是奈に誉められ、省吾も得意満面と、三人は学校帰りに買い食いでも楽しんでいるかのごとく、休日の午後の一時を、ほのぼのと過ごすのであった。
「ところでさあ、お前ら……」
 突然、話を変える様な素振りでもって、章吾は訝しそうな顔つきで都子と是奈の足元を指差すと。さらには加えて言う。
「なあ…… 田原、 ……死んでねーかぁ?」
 言われて是奈、自分が敷物にしている物体を見て、青ざめると。
「きゃーたいへーん! 田原くんしっかりしてぇーー!!」
 慌てて立ち上がり、今度は物体の前にしゃがみ込んで、叫んでいた。
 都子は相変わらず嘉幸の背中に馬乗りになったまま。
「いやーん田原く〜ん! 死なないでー!」
 と、嘉幸の背中を揺さぶるものの。
 当の嘉幸には反応が無い。


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