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是奈でゲンキッ!
【コメディ その他小説】

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特別興行 がんばれ田原くん! 『是奈と愉快な中間たち 2』 後編-11

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 奥さんは赤ちゃんといっしょに病室に移され、付き添ってくれている旦那の頭を、
「心配しないであなた。わたしも赤ちゃんも元気だから」
 と、優しく撫でていた。
「お前ぇ…… よくがんばったなぁ。よかったよかったぁ。うううっ」
 旦那は床に膝をついて屈みこむと、奥さんの手をしっかり握って、嬉し涙を流していた。
 その横で、真ん丸い赤い顔をした赤ちゃんが、可愛らしいタオル布の小さなガウンに包まって、すやすやと眠っている。
 嘉幸達三人は病室の扉をそーっと開けて、そんなご夫婦と赤ちゃんの事を、伺い見ていた。
 嘉幸も先ほどから、
「よかったぁ。よかったぁ…… ほんとに良かったぁ」
 と、なんどもなんども、頷き。
 その横で都子と清美も、さも自分の事のように、嬉しそうな顔をしていた。
「さあ、これ以上じゃましちゃ悪いし、俺たちは帰るとするか」
 そう嘉幸に言われ。嬉しさ余ってか、都子と清美は無駄な気合をいれて、天に向かって腕を突き上げながら、
『おおぅーー!』
 と返事をする。
 嘉幸はそれを見て、慌てて自分の口に人差し指を当て、
「しー! 病院内は静かにぃ!」
 と小声で叫んだりする。
 それを受けて、都子と清美、今度は小さく身をすぼめて、
「ぉぉぅ……」
 と、小さい声で返事を返えすと。三人は顔を見合わせて、クスクス笑うのだった。


 秋の夕暮れは、過ぎるのが早いものである。嘉幸達が病院を出て来た時にはもう、とっぷりと日が暮れて、行き交う人も疎ら(まばら)になっていた。
 嘉幸たちは夕闇の表参道を、自宅えと向かって歩いていた。吹く風はちょっぴり冷たくもあったが、三人ともとっても気分がよかった。
「ほんとに今日は大変だったけど、良い事をした後は気持ちがいいよなぁ」
 嘉幸は両腕を頭の上に伸ばし、ストレッチをしながら言う。
 清美はそんな嘉幸を見上げながら、
「嘉幸お兄ちゃん、今日は大活躍だったね。経験値も随分あがったし、このぶんだと直にクラスアップして勇者だよ!」
 そう言って褒め称えもする。
 本当は悪の側に属する嘉幸ではあったが、そんな風に誉められるとやっぱりうれしい。、
「ほんとかぁ、こいつぅ」
 と清美の首に腕を回して、彼女の頭をグリグリしたりもする。
「ああ〜んお兄ちゃ〜ん、くすぐった〜い!」
 清美もなんだか嬉しそうに、二人は仲良くじゃれあったりもしていた。
 そんな嘉幸を横目で見ながら、都子は。
「あたしとしては、田原くん…… うぅ〜うん司令官様にはカオスで居てもらわないと、困るんだけど。でも優しい田原くんってやっぱり…… 好きかな」
 だどと言いながら、擦り寄って来たりもする。
 嘉幸は。
「あーもう! うぜーよぅ!!」
 とか何とか言いながらも、今度は三人で肩を組んで笑っていた。


「そうだ! ラーメンでも食って行くかぁ!」
 嘉幸は上機嫌で、そんなこと言い出した。
 すると都子と清美も嬉しそうに、
「いいわねぇそれ! あたしお腹ペコペコぉ」
「わーい!」
 手を振って大喜び。
 全員賛成をもって、どうやら今日の晩御飯はラーメン屋さんとあいなりそうである。
 そんな折、嘉幸は不と、あることを思い出していた。
「そう言えば385(みやこ)お前 ……腹痛はどうなったんだぁ?」
 そう聞かれて都子もハッとしたのか、慌てて自分のお腹を押えると、少し顔を赤くして言ったりもする。


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