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刃に心
【コメディ 恋愛小説】

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刃に心《第25話・愚者が夢見る桃源郷》-5

「お、おい、止めないのか?」
「別に大丈夫だよ」

慌てる武慶に対して疾風は全く動ずることなく答えた。

「よく考えてみなよ。あの向こうにいるのは女剣士にくノ一が3人、それと極道の孫娘が一人。
一般人は希早紀だけ。
こっちが止めなくてもその内…」
『覗きは駄目ですよ♪』

竹垣の向こうから朧の声と同時に、カポ〜ン、という間抜けな音がステレオで聞こえてきた。おそらく、浴場にあった手桶が七之丞と彼方に当たったのだろう。
続けて、ドシンッという音。これは愚か者二人の落下音だと容易に想像がつく。

「…う、うぅ…」

やがて、ヒロシがユウの肩を支えながら───もしかすると逆かもしれない───岩場を降りてきた。
疾風と武慶は無言で二人を見つめる。

「ボブ!しっかりしろ、ボブ!後少しだ!」
「…いや、俺は此処までのようだ…」
「何を言っているんだ、ボブ!」
「……ガハッ!」
「ボブ!大丈夫か!」
「くっ…マイケル…俺が死んだら…骨は海に撒いてくれ…マリアが好きだった、あの海に…」
「ボブ!」
「あぁ…マリア…迎えに来てくれたんだね…長い間、待たせて…すまなかっ……た…ガクッ」
「ボォオオブ!…くそ…これが戦争か…これが戦争なのかあああ!」

ヒロシ(もしくはユウ)は空に向かって哭いた。

「…アホなことをしてないで、さっさと死体の回収に行ってこい」
「「了解」」

ユウ(またはヒロシ)がムクリ、と起き上がる。二人は多分外でのびているであろう七之丞と彼方を拾いに再び岩場を登っていった。

「「………」」

それを見て、疾風と武慶は

「「はぁ…」」

と、互いに深々と大きな溜め息を吐いたのであった。


続く…


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