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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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ICHIZU…G-8

「どうやら鎖骨をやってますね。詳しくは検査しないと分かりませんが…」

「そうですか…」

榊は残念そうな顔を見せた。その時、羽生が朦朧な意識の中、榊を見て力無い声で言った。

「…監督…今のは…アウトですか?」

榊は驚いた。骨折するほどの怪我を負いながらも、自分のワン・プレイの行方を訊く姿に。

「羽生!アウトだぞ。お前はボールを離さなかったんだ!」

「そうですか…」

羽生はそれを聞くと、安心したのか再び気を失った。
担架に羽生が乗せられ、球場外へと運ばれていく。観客席からは、羽生のプレーに対して惜しみない拍手が送られる。

榊はベンチに戻りながら永井に言った。

「すぐに佳代を用意してくれ」

榊の眼は真っ赤に充血していた。

「カヨ!」

永井の怒鳴るような声が、佳代を呼んだ。
対する佳代は羽生のショックがまだ抜けないのか、か細い声で答える。

「ハイ……」

「羽生の代わりだ!ライトに行って来い」

「はい…」

いつもなら元気に出ていくが、怪我をしての交代のためか、生気が感じられない。
それを気にした永井は佳代を呼び止めて、

「羽生が必死になって守ったんだ。しっかりやってこい!」

佳代の顔に生気が戻った。

「ハイッ!」

交代を告げられると、普段通りにポジションまで駆けて行った。

交代までの間、信也は山崎とキャッチ・ボールを交していたが、突然、ベンチに向かってタイムを取るよう要求した。
榊と永井は色めき立った。信也が自分からタイムを頼むなど無かったからだ。

伝令の橋本淳がマウンドに駆け寄る。内野手も信也の元に集まる。

「どうしたんだ?」

そう言って信也の顔を見た山崎は驚いた。いつもは自信にみなぎるような顔の信也が、うろたえる様な顔に変わっていた。

信也は橋本の方を見ながら言った。

「さっき投げた瞬間、左肩から先に電気が走ったような痛みが出たんだ。それからキャッチ・ボールをしたが、痺れたままだ」

信也の言葉を聞いた瞬間、全員が驚きの声を挙げた。

信也は続ける。


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