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『夏休み』
【学園物 官能小説】

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『夏休み』-1

 夏休みの学校は…他の場所より何故か陽射しが強い様な気がする…


 校舎の向こう側のグラウンドから、微かに聞こえてくる運動部の掛け声と…行く夏を惜しむかの様に哭く蝉の哭き声…雲ひとつない快晴なのに…どこか寂しい気な感じがする…生徒と言う俳優が居ないだけで…こんなにも舞台の雰囲気は変わってしまうのだろうか…それとも、これが高校生活最後の夏休みだからなのだろうか…


 私の名前は加奈…都内の高校に通う十八歳…男性経験なし…


 夏休みに入り予定の無い日は、学校の図書館で一日を過ごしている…別に勉強する為では無い…適度な空調で居心地が良くて、お金も掛らないし…


 これは、友達から聞かれた時の言い訳…本当の理由は…私の視線の先に居る人…図書館のカウンターの中で銀縁のメガネのズレを気にしながら難しそうな本に没頭している図書館の職員さん…


 何故か私が好きになる人は年上ばかり…しかも、友達に言わせれば、趣味が悪いらしい…


 私の指定席は、カウンターから少し離れたこの机…本を読むフリをしながら、チラチラと彼の事を観察している…


始めのうちは、ただ眺めているだけで満足していた…しかし、次第にもっと彼の事を知りたいと言う欲求が膨らんでいきました…



 夏休みの最終日…私は、ある行動を起こしました…


カウンターの中の彼に新聞の切抜を見せる私…


『あの〜…この本って…此処にありますか?…』


彼と言葉を交したくて…興味もないのに、ある本が紹介された新聞の切抜を…彼は、私から切抜を受け取ると、眼鏡のズレを直しながら…手慣れた手付きでパソコンのキーボードを弾きました…


「あぁ…ありますよ…ただ、閉架書棚の中なので…」


『閉架書棚?…』


「あぁ、閉架書棚って言うのは書庫の中にしまってあるって事ですよ…」


微笑みながら説明をする彼…


『書庫なんてあるんですか?』


「ありますよ。見てみますか?」


『はっ、はい…見てみたいです…』


図書館の一番奥の大きな鉄製の引き戸を少しあけ…彼が真っ暗な部屋の中に姿を消しました…暫くすると部屋の明かりが付き、再び扉から顔を覗かせた彼は、私に手招きをしました…


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