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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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ICHIZU…E-5

《最初は、前年度優勝校、青葉中学校》

信也が優勝旗を両手で握り、グランドに足を踏み入れる。後の者もそれに続く。
その瞬間、破れんばかりの歓声と拍手が選手達に向けられた。

(す…すごい!)

バックネット裏の屋根により、歓声が反響し、身体の中で響き渡る。佳代の頭の中は真っ白になった。
ヒザが意思に反してガクガクと震えていた。グランドを踏みしめる感触がまったく無く、ふわふわと毛足の長い絨毯の上を歩いているようだった。

「あれって、姉ちゃんじゃない?」

指差す修の先を加奈は遠目に目をこらした。列の最高尾を少し離れて歩くのは、確かに佳代だった。
足を時々速くなったり遅くなったりとぎこちない。そのうえ、顔はうつ向いていた。

「あのバカ…」

加奈は顔を真っ赤にして唇を噛んでいた。まるで自分の事のように恥ずかしい。
加奈は何を思ったのか、その場から観客席の最前列へと向かった。

「カヨーッ!あんた胸張って歩きなさーい!」

前に立ち上がり金網のフェンスを掴んで叫ぶ。しかし、その声は彼女には届かなかった。
仕方なく戻ろうとする加奈。我に還って周りを見ると、笑いながら加奈から視線を外す大勢の人達が見えた。
加奈はまた顔を真っ赤にすると、自分の場所へと戻って行った。


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