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愛した人は一人だけ。
【悲恋 恋愛小説】

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愛した人は一人だけ。-1

「ねぇ、明日どこ行くの?」
ベットに寝転がりながら、恵(めぐ)は聞いてくる。

「おしえな〜い。」
優(ゆう)はベットに腰掛け恵の頭を撫でながら、いじわるそうに答える。

「優のケチ。」
頬を膨らましながら。彼氏に抱き着く。

「この甘えん坊。」
優はやさしく抱いてあげた。

「ただいま〜。」

「あっパパだ。」

「じゃあ俺帰るね。」
優は腰をあげた。

「なんでよ〜パパなんて無視してればいいじゃん。」
恵は寂しそうな目で、優を見つめる。

「また、ケンカになっちゃうだろ。恵は父さんを大事にしてあげないと。」
優は、また恵の頭を撫でる。

「恵!また、あいつを連れ込んでんのかぁ!」
階段をあがってきた。

「ごめんね。いつもいつも。」
申し訳なさそうに、手を合わせて謝った。

「恵の事を心配してんのさ。しょうがないよ。」二人は恵の部屋を出た。そこにスーツを着ている恵の父さんがいた。

「また、おまえか。早く出てけ!」
優の背中を押して追い出そうとする。

「ちょうど今から帰る所なので安心してください。おじゃましました。」
優は笑顔でお父さんにお辞儀をして階段を降りていく。


恵も優の後を追い掛けて階段を降りる。

「恵どっか行くのか!」
お父さんも慌てて階段を降りる。

「見送るだけですぅ〜」
恵は後ろを向いて
【べぇー】と舌を出す。

優はもう靴を履いている。
「じゃあ明日いつもの所に10時ね〜」
優は恵に笑顔で言う。

「うん。バイバイ♪」
恵も笑顔で見送る。

「おじゃましました〜」
優は出ていった。

「やっと帰ったか。」

お父さんが恵の後ろでため息をついている。

「もぅ、いつもいつも。優はいい人だよ!この頑固頭!」
恵は怒って、自分の部屋に入ってしまった。

「頑固頭って。…優君はいい子だって知ってるさ…」
お父さんは、悲しそうに自分の部屋に行き、着替える。家族4人で、写ってる写真を見る。

お父さん、お母さん、恵、拓。

だけど今は、この家に2人ですんでいる。

お母さんと拓は、交通事故で、亡くなってしまった。
お父さんの運転する車で。
お父さんと恵は奇跡的に助かった。
拓は即死。
お母さんは、一週間生死をさまよい、そのまま息をひきとった。


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