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世界の中でたたずむ、人
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あなたの えがきかた-4



私は眠っている間、夢を見た。
酷く心地よい夢であったが、内容はほとんど覚えていなかった。




チャイムは連続して三度鳴り止んだ。 そしてしばらくの空白が生まれ、また三度のチャイムがなった。それが6回程続いた様に思う。
私は(恐らく)18回目のチャイムで眼を覚まし、急ぎドアを開けた。 ガチャリと小気味良い音が鳴りドアが開くと、そこには彼が立っていた。

「こんにちは」と、彼は言った。
紺色のTシャツに淡い青色のジーンズ、胸にチョークをかけ、サンダルを履いていた。
「こんにちは」
と、私も言った。 たぶん笑えていたと思う。
彼も笑っていた。
「手紙の返事を、しにきたんだ」と、彼は言った。
やはり笑いながら。
「この手紙、君でしょ?」
私はその言葉に対して、一度だけ頷いた。 ―たぶん笑えていたと思う。
「やっぱり」と、彼は言った。
「そうだと思った。こんなに素晴らしい絵を描ける人を、僕は君以外に知らないもの」
彼はそう言って、ゆっくりと眼を閉じた。そうして三回呼吸をし、閉じた時よりゆっくりと眼を開けた。
その眼は何か澄みきっていて、私はそんな眼が好きになった。
「はい、これ」
と彼は言って、一冊のスケッチブックを手渡した。

「じゃ、伝えたから」
彼はそう言って、帰っていった。
残された私には不思議の三文字しか頭にはなく、彼の言った意味を理解は出来ずにいた。
意味がわからない。
とりあえず私は、スケッチブックを持って部屋に戻った。




かけっぱなしになっていた『閉じた光』を止め、コーヒーをいれつつ私はスケッチブックを見た。
なんのヘンテツも無いスケッチブックである。 裏面の隅に、小さく『TAKEDA』のサインがはいっているだけであった。
パラパラとページをめくると、様々な絵が描いてあるのがわかる。 見事な絵ばかりであった。

スッと、何かが落ちた。
(恐らく)ページとページに挟まっていた紙切れの様に思われた。
私はそれを拾い見てみると、彼の物と思われるメッセージが書いてあった。

『限り無く青い春より愛を込めて。

とても素敵な手紙をありがとう。 とても嬉しかった。僕の人生で一番の手紙であると思う。 どんな手紙もこれには敵わないであろう。
さて返事なんだが、変わった恋文であったので、変わった返事をしようと思う。まずはこのスケッチブックをめくって欲しい。
僕の全てを描いておいたから。 タケダ』


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