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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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飃の啼く…第4章-6

生物の教師の一件からこれまで、私たちは何体もの「やつら」を相手にしてきた。思い出せる限りでも、100体以上は倒した。時には家の近くで、時には電車を乗り継いで行った先でも。

しかし、それでも相手は雑魚ばかりだ。物の30分で片が付くような。だが、明日相手をするような大物との戦いは、正直初めてになる。次も成功するかは、誰にもわからない。

私は、心地いい飃の腕の中で震えた。飃が、さらにぎゅっと、私を抱きしめた。
「飃…?」
「うん?」
「…なんでもない!そろそろ帰んなきゃ!」
そうして私はいきなり立ち上がった。
飃はまだ浜辺に座って、今ようやく腰を上げようとしている。私は後ろから抱き付いた。

「?どうした、さく…」
彼の言葉は遮られた。わたしが飃の耳を舐めてみたからだ。彼の耳は、ふにゃっと力無く下へ下がった。最近わかったが、お風呂に入ったり、肩をもんであげたり…つまり、気持ちがいい時、飃の耳は下がる。
「な……?」
飃は混乱してる。そんな彼が可愛く思えて、さらに愛しく感じた。
「えっへへ〜♪」
耳元で、さらに囁いてみた。「こう言うの、や?」
「………!」
私の腕の中で、飃が震えている。ためしにもう一度、舌で耳の輪郭をたどる。
「…んっ…さくらぁ…」
飃が恨めしげに振り返る。私はちょっと舌をだして笑ってみた。
「アハ、たまにはさ…きゃ」
飃の身体の下敷きになった。
「形勢逆転。」
飃は、首筋に幾つもキスを落していった。

「っ…ふぁ…」

唇の輪郭を舌でなぞられる。

「この口が好きだ。」

「んっ…口だけ?」

「いや。この口が己の名前を呼ぶとき、怒ったときも、笑ったときも…そうだな、おまえの喘ぎ声も好きだな。」

そういって、飃は笑った。

「もう、自分だってさっきは…」

そこで、言葉ごと塞がれた。波の音だけが夜の全てを支配しているような気がした。
学校でのことを目撃されていたので、心配はあったけど、それでも、この感情を押さえつけようとするのは無理だった。飃の舌が、私の舌と絡み合って、解けて、口から漏れる息が、飃のそれと、混ざっていくのが解る。耳が弱点なのを知っている飃は、なめながら、身体の輪郭をなぞるように愛撫していく。

「ぁん……」

その手が敏感なところに触れるたび、飃が好きだといってくれたあえぎ声を発してしまう。
そして、自分でも解るほど潤ってしまったそこに、飃がゆっくりと、入ってきた。失ったものを取り戻したような錯覚。或いは、欲しかったものを手に入れて満たされた様な。
「ん…はぅ…」

うっすら目を開けると、月明かりが、飃の体の輪郭を浮かび上がらせていた。目が合うと、彼は私にかがみ込んで、首筋を強く吸った。


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