投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

飃(つむじ)の啼く……の最初へ 飃(つむじ)の啼く…… 24 飃(つむじ)の啼く…… 26 飃(つむじ)の啼く……の最後へ

飃の啼く…第4章-4

「さ…!」

「…わん、なよ!馬鹿やろおっ!!」


それは、飃ですら軽く恐怖するような怒号だった。

+++++++++

目の前の結城は、驚いて目を丸くしている。

「あたしはねぇ…初めて本州以外の土地に来て、わくわくしながら一人で気持ちよくくつろいでたのよ…それを…メール一本で呼び出して、何かと思えば『一発ヤらせろ』ですって…?」

怒りがどんどんこみ上げてくる。何でこんなに怒ってるんだろう。私。でも、心の中で飃のことを考えていたあの瞬間が、とても大事な時間だったよう思えるのは、気のせいではないと思う。こいつは、私が心の中で大事な何かを見つけるのを邪魔した!

「あたしはねぇ、あんたが思ってるような、安っぽい女じゃないわ、わかった!?」

結城の頭の横にある木の幹に思い切り拳をたたきつけた。
「人の情事を盗み見するようなあんたの変態の友達にも…そう伝えなさいよっっ!!」

最後の言葉は、あわてて退散する男の背中に向かって発せられた。ふん。馬鹿男。

すると、頭上からなにやらくすくす笑い声が聞こえる。うちの学校の生徒…?そう思って見上げると…

「あなた、だれ?」

「すっごいなあ、姉さん!」

それは、小さな飃だった。


いや、間違いだ。飃は、彼の横に座って、やさしげに笑いながら見下ろしている。私は、ばつが悪いのと、飃の登場にびっくりしたのとで、二の句が継げなかった。

飃とその子は、音も立てずに私の前に降り立った。その様子をにらみつけながら、

「…それで、家でお留守番のはずの私の立派なだんな様は、上で楽しく見物してらしたわけね?」

「人聞きの悪いことを言うな。来ないとは一言も言ってないし。あの男のことは今にも殺してやるところだったのだぞ。」

心外な。とでも言いたげな顔だ。殴ってやりたい。

「で、彼は…?」

依然クスクス笑いが収まらない「彼」は、赤茶色の髪がくるくると巻いていて、犬のような耳も、飃のものとは違っていた。

「彼は、カジマヤといって、琉球に暮らす狗族のひとりだ。」

「*;@?;+¥#&!!」

「…は?」

「彼らの言葉だ、気にするな。」

「‘+:*?&%%$#☆!」

何を言ってるのかは解らないが、たぶんいい内容ではないんだろう。飃の顔が引きつっている。


飃(つむじ)の啼く……の最初へ 飃(つむじ)の啼く…… 24 飃(つむじ)の啼く…… 26 飃(つむじ)の啼く……の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前