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月の不在。
【エッセイ/詩 恋愛小説】

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月の不在。-1

見上げたら、空に
月が居なくて、
急にそわそわと
落ち着かなくなる。


ねぇ。
きみは今、
どこに居るのでしょう?
《其処》に居るはず。
なのに、ねぇ。
見えないのよ。


真っ暗闇の部屋。
開いた窓から、
射し込まない。
心すら真っ暗闇なのも
きみの、
不在の、
所為にする。


昼の陽射しに、
食傷気味なあたしは
今夜も夜空仰ぎ
きみを、
探します。


やわらかい光で、
包み込まれたい。
只々、それが、
あたしの願い。


あの人もきみも
見当たらないんじゃ、
あたしは、
あんまりにも、
息苦しいんだもの。


水槽の中、
閉じ込められた
金魚みたい。
口をパクパクさせては、
薄い空気を、
必死に吸い込む。


夜の向日葵が
いっせいに、うなだれて
星は、音もなく
地面に激突する。


きみが居ないだけで、
こんなにも世界は、
沈黙する。


今夜も、あたしは
この息苦しさ抱えて、
叶わない祈り、
捧げるように、
そっと、夜空を
見上げます。


ねぇ、きみは
どこにいるの?
ほら、早く、
あたしの腕の中。
帰っておいで。


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