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刃に心
【コメディ 恋愛小説】

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刃に心
《第24話・忍者探偵忍足疾風の事件簿〜お調子者を殺したのは誰か?
次々と明らかになる友の暗い心。
まさか犯人はこの中にいるのか?
果たして疾風は友を疑えるのか?
『湯煙温泉彼方殺人、
尚、今回のタイトルは本編と一切関係ありません事件』》
-6

「こうして疾風さんとおしゃべりできる時間が増えますからねぇ♪」

そして、するりと疾風の腕に抱きつく。

「最近、寂しかったんですよ。疾風さん、あまり私に構ってくれませんでしたし、出番も少なかったですし」

朧は少し拗ねたように頬を膨らます。
端から見れば、愛らしいことこの上無いはずなのだが、疾風にとっては悪魔が地獄へ誘っているようにしか見えない。
小悪魔ではなく、悪魔がである。

「本来なら、この旅行も私と疾風さんの二人っきりでしたのに」

そんな疾風の気持ちなど何処吹く風で朧はぐいぐいと身体を密着させる。

「でも、宿に着いたら疾風さんにいっぱい甘えるつもりですから♪」

毎度のことながら、思わずドキッとする笑顔。いい加減慣れてもいいはずなのだが、いつまで経っても変わらない。
そして、背後から刺すような視線(×3)も…
朧は微笑みを浮かべたまま、自分に被害が及ぶ前にさっさと離れていった。
───疲れるひとだ…
そう思いながら、疾風は、はぁ…と溜め息を吐いた。

◇◆◇◆◇◆◇

疾風は右腕に巻いた時計を見た。
時刻は10時10分。集合時刻は10分前に過ぎている。

「ああ、もう!これだから七兄は…」

時間に対して───というか、全体的にルーズな従兄にいらいらとさせられる。
足はトントンとアスファルトを打つ。

「まあ、落ち着け」

楓が肩を軽く叩いた。

「そんな急く旅でもなかろう」
「それはそうだけど…」

朧の誘惑も慣れないが、七之丞のいい加減さにも慣れない。

「そういえば、疾風。車なのだが大丈夫なのか?」
「多分だけど流石の七兄でも、車は忘れないと思うよ。
てか、そうじゃなきゃ困るし…」
「いや、そうではなくてだな…私が言いたいのはこの人数を収容できる車は限られるぞ」

楓は歓談を続ける仲間達を見た。
全員で11人。
普通のワゴン車でも少々きつい人数だ。

「う〜ん…どうなんだろう?人数は伝えてはあるけど…」

そう言って道路の左右を確認する。
それらしき車が来る気配はない。

「マイクロバスとかだったりして。それなら全員乗れると思えるんだけど」

疾風が冗談めかして言った。
その時だった。
右から何かが猛スピードでこちらに近づいてくる。
それは疾風の家の前で急停車した。
ぷしゅ〜、と空気が抜ける音がして扉が独りでに開く。
四角い車体。
それはバスだった。
マイクロではない。
普通に市営とかで走っているタイプのバスだった。
その証拠に車内には吊革や、降車を知らせるブザーが設置されていた。


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