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『傾城のごとく』
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『傾城のごとく』-6

「それじゃ、気をつけて帰るように」

担任の声と同時に、生徒達の席を立つ音が教室に響く。

「千秋、行こう」

亜紀は足早に千秋の席に寄ると、急かすように言う。

「うん。ちょっと待って」

千秋は教科書やノートをカバンに入れると、亜紀と二人で廊下を駆けて行く。学校の門を出ると、二人は病院へ向かって脇目も振らずに走り出した。

「ハァ、ハァ…亜紀…ち、ちょっと…待って…」

千秋は亜紀の脚についていけず、途中でへばってしまった。亜紀は後を振り返ると、

「千秋おそーい!あんた日頃から運動不足でしょう」

「ち、違…うよ…亜紀ちゃんが…速すぎる…」

歩いて10分の距離を二人は5分で着いた。

「こんにちはー!先生いらっしゃいます?」

千秋の声に処置室のドアーが開き、獣医が顔を覗かせた。

「やぁ、来たね。上がってらっしゃい」

千秋と亜紀は“失礼しまーす”と言う声と共に処置室へと入って行く。

「ホラッ、君の仔猫はココだよ」

獣医の指差したゲージの中で、端に置かれた毛布にチョコンと仔猫は丸くなって寝息をたてている。それを見た千秋は、昨日見た時より一層いとおしさを感じていた。

それは亜紀も同様らしく、一目見た時から“可愛い〜!”を連発する。

獣医はひとつ咳をすると、二人の注意をこちらに向けてから話し出した。

「それじゃあ、昨日も言ったようにこのコの世話をやって貰うから…」

「ハイッ!先生。何でも言って下さい」

千秋は先ほどまでの疲れなど未塵も感じさせず、ハツラツと答える。獣医は亜紀を見ると、

「ところで君は?」

亜紀もハツラツとした表情で、

「私、千秋…彼女の友達で小野亜紀です。千秋が初めてペットの世話をするというので心配でついて来たんです」

「そう。じゃあ彼女に世話のやり方を教えてやってね。じゃあ二人共、まず手を洗って」

二人が手を洗い終えると、獣医が説明を始める。


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